数あるM&A専門書の中から、新刊を中心にM&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。選書の参考にしてみては。
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『ストーリーでわかる初めてのM&A』 横張 清威 著、日本加除出版 刊
M&Aの現場を立体的に理解するうえで、うってつけの一冊。M&Aに初めて携わる会社担当者や弁護士、公認会計士ら専門家を対象に、その具体的な流れをストーリーを交えて解説する。案件着手からクロージング(取引成立)までの時系列に沿って、会社、法務、財務それぞれの立場で、どのような作業が行われているのか、その要点を大づかみできる。
今や経済ニュースの常連となったM&A。国境をまたぐ海外企業の買収も日常茶飯事だ。一握りの大手企業に限らず、会社の規模を問わず、M&Aが経営の重要な選択肢となっている。そんな中、いつ何時、社内でM&Aの実務にかかわることになってもおかしくない。
3年前にマザーズ上場した洋菓子製造のバウムクラストは老舗の和菓子メーカーの買収に乗り出すことになり、経理部長の堀田紘一がM&A担当に任命されたところから、ストーリーは始まる。ところが、堀田はまったくのM&A未経験。
堀田はある法律事務所に法務デューデリジェンス(DD)を依頼する。受け持つのは法務DDが初めてという4年目弁護士の遠出太郎と、元いそ弁で切れ者の新堂明。財務DDは太郎の幼なじみの公認会計士・西野彩が指名された。
登場人物のキャラクターの魅力もさることながら、物語はハラハラドキドキの展開。対象企業の情報開示は遅々として進まず、出された資料には粉飾気味の数値が並ぶ。しかも相手は譲渡価額10億円を譲らない。予期せぬ対抗馬の出現…。果たして買収は成就したのか?
ストーリーは秘密保持契約、基本合意書、DD依頼、現地調査、株式、議事録、資産、労務問題、知的財産権、経営者インタビュー、バリュエーション(企業価値評価)、最終契約書などM&Aの上流から下流まで26のシーンで構成。各シーンに続く解説ではポイントや注意事項をまとめ、書式や文例も随所に収録した。(2019年12月発売)
文:M&A Online編集部
「入門書の次に読むM&Aの本」として2015年に発行された書籍の改定版が本書。2018年12月1日時点の法令などにもとづいて改定するとともに新たにM&Aガバナンスに関する章を書き加えた。
「出版不況」と世間で言われる中、M&Aをテーマにした書籍の発刊が相次いでいます。最近(2019年8-10月)出版されたM&A関連本をまとめました。