数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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「ザ・M&Aディール 企業買収・売却プロセス実践対策集」 福島 和宏ら編著、中央経済社刊
日本企業がかかわるM&Aが増加しており、M&Aが企業戦略の主役になりつつある。ただ、M&Aの件数が増える分、失敗事例も増える傾向にある。
M&Aを実行した日本企業のうち、自社の海外M&Aを成功したと評価する企業はおよそ4割程度で、残りの6割の企業は何らかの形で失敗と言える要素があったと考えているという。
何が成功で、何が失敗なのかは、状況によって異なり、シナジー(相乗効果)なのか、売買価格なのか、手離れの良さなのか、その評価は企業によってさまざまだ。
本書は、M&Aに携わる企業担当者を中心に、専門家や意思決定権者らに対して、M&Aで失敗しないための実践的な対応策を啓蒙することを目的に、デロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の福島和宏代表執行役社長をはじめ20人を超えるM&Aのプロが本格的なM&A実務解説書としてまとめ上げた。
著者らはM&Aは高い秘匿性と限られた時間で物事が進められるため、その困難が多くの人たちに共有されないことが失敗の根底にあるとしたうえで「共通の失敗と呼ぶべき事象の多くはM&A実行時の実務に潜んでいる」と強調する。
そこで第1章でM&Aの検討プロセスについて触れたあと、第2章から第10章で買い手の立場から、具体的な案件開始前の検討事項について、さらに具体的な案件遂行時の検討プロセスについて、競争入札形式を例に解説した。
第11章から第15章では、売り手の立場から、競争入札形式を中心とした検討プロセスを説明し、第16章から第18章ではガバナンス構築、不正リスク対応、のれんの減損テストなどを取り上げた。
各章のまとまりごとに、問題集を掲載しており、読者に理解を深めてもらうとともに、財務アドバイザーに対して、問題集から質問することで、当該アドバイザーの力量を見極めるなどの活用法も提案している。(2021年9月発売)
文:M&A Online編集部
著者は後継者のいない中小企業の社長が、会社を第三者に売却することによって、自身や家族、社員、取引先などを幸せにする行為を「会社エグジット」と呼び、会社売却が事業承継のベストチョイスであると主張する。