数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
「日米実務の比較でわかる 米国アウトバウンドM&A法務の手引き」
長島・大野・常松法律事務所ニューヨーク・オフィス編 中央経済社刊
日本企業の対外M&Aにおける最大の“票田”はほかでもない米国だ。対外M&Aのうち米国の割合は件数で3割、金額で4割を超え、他を圧倒する。企業規模の大小を問わず、米国を舞台にM&Aを模索する動きは引きも切らない。
本書はそのタイトルが示す通り、対米M&Aに特化する形で、M&A実務の日米比較に挑んだ。日本企業同士のM&Aに精通していても、相手が米国企業となると勝手が大きく異なる。M&Aに関する米国の法律や実務が日本のそれとどう違うのか、国内大手法律事務所のニューヨークオフィスの日本人メンバーが要所を解説している。

M&Aの大半を占めるのは買収対象が非公開会社である場合。非公開会社のM&Aにおける株式譲渡、出資取引、株主間契約、資産譲渡、合併などの手続きを日米の相違点を踏まえて紹介している。公開会社編では逆三角形合併や株式公開買い付け(TOB)、敵対的買収・買収防衛策などを取り上げた。
そのうえで、競争法、CFIUS(対米外国投資委員会)、プライバシー保護法、OFAC(財務省外国資産管理室)規制、国防権限法、M&A税制など米国特有の規制についてページを割いた。国防権限法は中国政府への機密情報の流出を防ぐ目的で2018年8月に成立し、華為技術(ファーウェイ)などの製品が排除されたことは日本でも知られるところだろう。
アクティビスト(もの言う株主)への対応、経営不振企業を標的とするディストレストM&Aにも触れた。
日本企業が米国でM&Aに取り組む際は、言語や企業文化の相違に注意する必要がある。例えば、信頼関係を重視した「日本流」を適用し、契約書への記載事項を最低限にするなどのケースでは後々紛争になるおそれがある。
米国でのM&Aを検討する企業の法務担当者は手引書として備えておきたい一冊だ。(2021年3月発売)
文:M&A Online編集部
2021年も引き続きM&A関連本の発刊が相次いでいます。1月から3月の間だけで30冊近くの書籍やM&Aの特集記事を組んだ雑誌が発売されました。
今回取り上げるのは江上剛著「再建の神様」(PHP研究所感刊)。物語の舞台は倒産の危機に瀕する会津の温泉旅館。銀行員生活に挫折した春木種生は東北新幹線の車中で、再建請負人を名乗る渋沢栄二と偶然出会う。
コロナ・ショック後の企業価値をどう向上していくかというテーマの下、フリーキャッシュフローの創出や投資の判断、株主への還元、資金調達などについて、具体的な事例を紹介しつつ分かりやすく解説している。
超金融緩和政策に危機感を持つ日銀OBが、日銀と政府の経済政策を批判し、新たな提言を打ち上げる。こうした行為をクーデターと呼び、クーデターに協力する者、クーデターを抑えようとする者たちの攻防を描いた。
米国や欧州でビジネスと投資関連の取材をしてきた米国のジャーナリストが、多くの関係者にインタビューを行い、アクティビスト(物言う株主)と企業との熾烈な攻防戦に光を当てたのが本書。
有名企業が倒産に至った経緯をまとめたのが本書。信用調査会社である帝国データバンクがまとめた。タイトルに「まんが図解」が入っているが、まんがの部分は少なく、いわゆる漫画本とは趣を異にする。
今年(2020年)発売されたM&A関連や事業承継をテーマにした本をすべて紹介します。
未上場会社の事業承継を成功に導くための指南書というのが本書の位置づけで、事業承継の成功事例と失敗事例を数多く紹介してある。
事業承継は中小企業にとって最も差し迫った問題だ。そうした中、突如襲来した「新型コロナ禍」。コロナ後を見据えて、事象承継問題にどう向き合うべきか、豊富な実務経験をもとにレクチャーする。
あまり聞きなれない「カラ売り屋」の活動にスポットを当てた小説で「病院買収王」「シロアリ屋」「商社絵画部」の3編からなる。こんな世界もあったのかとの好奇心とともに、闇の世界の不気味さも伝わってくる。
「出版不況」と世間で言われる中でもM&Aをテーマにした書籍の発刊が相次いでいます。最近出版(2020年7-9月)されたM&A関連本をまとめました。
2019年1月に発行した「資本コスト」入門の改定版で、新たに海外案件の場合の資本コストの取り扱いや、外国人の目に映る株主総会、M&Aが増加している背景、株主総利回り(TSR)などを追加した。