「愛の会社エグジット 売り手も買い手も幸せになる事業売却」|編集部おすすめの1冊
著者は後継者のいない中小企業の社長が、会社を第三者に売却することによって、自身や家族、社員、取引先などを幸せにする行為を「会社エグジット」と呼び、会社売却が事業承継のベストチョイスであると主張する。
数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
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「イノベーション具現化のススメ」瀬戸 篤・武田 立・金丸 清隆・江戸川 泰路著、同文舘出版刊
バブル崩壊以来、日本経済は伸び悩んでいる。「失われた」と称される年月は、すでに30年を超えている。バブル崩壊時に大卒で就職した社員も、すでに50代前半に差しかかっている。つまり、現在の日本企業で働く大半の人たちは、安定した経済成長を経験したことがないのだ。
その原因として挙げられているのが「イノベーション(技術革新)の欠如」。高度成長からバブル期まで日本企業は世界に先駆けて困難な技術や製品に挑戦し、大胆な設備投資で大量生産を断行。一時は欧米諸国の工業製品を駆逐する勢いを見せた。
が、今はどうか?残念ながら日本発で世界を動かすイノベーションは姿を消し、設備投資も小粒に。日本の猛攻に耐え抜いた欧米先進国の復活に加え、中国や韓国といった新興国にまでイノベーションで追い抜かれる始末。かつてのイノベーション力を復活させるのが、日本経済再生のカギと言える。
本書はビジネススクール教授、元ソニーのエンジニア、弁理士、公認会計士の4人が講義や実務経験を通して得た知見を元に、具体的なイノベーション再生法を提案する一冊だ。
ただ、「イノベーション」一般についての解説本ではないことに注意が必要だろう。1章の「知の商業化」で、これからのイノベーションの主役は大手メーカーではなく、テクノロジーベンチャーであると明確に定義している。
つまり本書はテクノロジーベンチャーの起業や資金調達、M&A・株式新規公開(IPO)などの出口戦略についての解説書なのだ。それゆえ内容も主に「イノベーションを担うベンチャーづくり」であって、「イノベーションの手法」については補足に留まっている。
「イノベーションを生み出すために、現場は何をすればいいのか?」という問題意識で本書を読めば、肩透かしをくらうだろう。
一方で、大学発ベンチャーについては日本のイノベーションを支える存在であると高く評価し、その立ち上げから知的財産の管理、成長のためのロードマップなど役立つ情報が盛りだくさん。大学発ベンチャーは政府の後押しもあり、大学当局が積極的に設立を促している。金融機関は有望な投資先、一般企業も強力なパートナーあるいは買収先として熱い視線を送る「ホットスポット」だ。
しかし、このタイトルでは「ホットスポット」に関わる大学発ベンチャー関係者や金融機関、一般企業への訴求は弱い。タイトルもしくは副題、最低でも帯に「大学発ベンチャー」の一言を入れておくべきだったかもしれない。(2021年5月発売)
文:M&A Online編集部
著者は後継者のいない中小企業の社長が、会社を第三者に売却することによって、自身や家族、社員、取引先などを幸せにする行為を「会社エグジット」と呼び、会社売却が事業承継のベストチョイスであると主張する。
超金融緩和政策に危機感を持つ日銀OBが、日銀と政府の経済政策を批判し、新たな提言を打ち上げる。こうした行為をクーデターと呼び、クーデターに協力する者、クーデターを抑えようとする者たちの攻防を描いた。