「社長、会社を誰に、どう継がせますか?」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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「社長、会社を誰に、どう継がせますか?~事業承継の新しい教科書~」 門澤 慎、佐奈 徹也著、かんき出版刊

青雲の志で事業を立ち上げ、艱難辛苦の末にビジネスを軌道に乗せ、多くの信頼できる取引先を得て業績も安定。「これで、やっと肩の荷を降ろせる」と、ほっと一息ついた時に「それ」はやって来る。「それ」とは事業承継である。

社長の命は有限だが、企業は承継される限り無限に存在することができる。上場企業であれば社員から経営者を抜擢していけるが、中小企業ではそう簡単にはいかない。中小企業の社長が経営のバトンタッチを意識した時に考えておくべきことを1冊にまとめたのが本書である。

社長、会社を誰に、どう継がせますか?

事業承継には財務や税務、法務などの専門知識が必要だが、本書では「経営者であれば知っている」程度の知識で十分に理解できる内容だ。平易な表現でつっかえることなくスラスラと読めるだろう。

とはいえ一般向けの解説書ではなく、社長が「決断」をする上で必須の情報が網羅されている。企業の置かれている状況に応じて解説する構成なので、「子供に継がせたい」「子供が継ぎたがらないので、社員に承継したい」「社員もバトンタッチには及び腰で、誰も承継したがらない」などといった想定できるあらゆるケースで解決策とアドバイスを提示する。

事業承継の専門知識を解説する本ではないので、それを生業とする公認会計士や税理士、弁護士、金融マン、研究者には物足りないかもしれない。

実際、事業承継するには専門知識は必須だが、これについて著者は社長にM&A仲介会社などの「専門家からアドバイスを受ける」ことを推奨。その上で、どのような専門家が存在するのか、専門家探しはどうするかについても触れている。

事業承継が「待ったなし」で迫っている社長はもちろんのこと、バトンタッチはかなり先だが「将来に備えて知識を得たい」社長にとっても読み応えがある1冊だ。(2021年3月発売)

文:M&A Online編集部

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