「金融再生請負人」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

「金融再生請負人」 山本 貴之著、きんざい刊

地方銀行の苦境が喧伝されて久しい。出口の見えない歴史的な金融緩和で預貸金利ザヤの縮小が止まらないうえ、コロナ禍で融資先企業の業績不振も深刻だ。こうした中、生き残りをかけた地銀再編のゴングが鳴っている。

物語の主人公は静岡県浜松市に本店を置く「うみはま銀行」の入行5年目の若手行員、星沢健介。県内の大学を出て、迷わず生まれ育った地元でバンカーの道を選んだ。支店を経て本店勤務になった矢先、銀行再編の渦に放り込まれてしまうのだった。

うみはま銀行は相互銀行から普通銀行に転換した、いわゆる第二地銀。県内最大地銀の富士山銀行が立ちはだかり、信用金庫との競争も激しさを増し、近年は実質赤字という苦境に陥っている。

突如舞い込むのが愛知、岐阜、三重の東海3県を地盤とする中日本銀行からの合併提案。結論が出ないまま時間が経過する中、ついに中日本銀行による敵対的TOB(株式公開買い付け)に発展する。一方、県内でライバルの富士山銀行は中日本銀行との業務提携を発表し、うみはま銀行はいよいよ追い詰められる。

買収防衛策で対抗するか、それとも第三者の友好的な買収者(白馬の騎士)の登場を待つか。うみはま銀行が選んだ戦法は企業価値の向上策。いわば正攻法中の正攻法だ。うみはま銀行の市場での評価が高まり、株価が中日本銀行が提示した買付価格を上回れば、TOBを不成立に追い込むことができるからだ。

とはいえ、残された時間は2カ月。短期間にどうやって企業価値を劇的に改善できるのか…。銀行はセレブ美魔女、ヨガ仙人という異色の経営コンサルタントの招聘という行動に出る。

主人公の星沢は、AI(人工知能)とフィンテックを駆使した新戦略を掲げて自立再建を目指すチームの一員として奮闘する。デジタル化の地域クラスターの先進モデル「うみはまエコシステム(生態系)」の形成を掲げ、地元企業との連携に奔走するが、果たして起死回生策となるのか。そして、星沢があこがれる同期入行で小中学校の同級生・夏美との恋の行方は?

著者は日本政策投資銀行出身。M&Aアドバイザリー業務で豊富な経験を持ち、これまでに「M&A神アドバイザーズ」「M&Aアドバイザー」などの著書がある。(2021年8月発売)

文:M&A Online編集部

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