「事例検討 法人税の視点からみた事業承継・M&Aの実務ポイント」|編集部おすすめの1冊

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数あるM&A専門書の中から、新刊を中心にM&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。選書の参考にしてみては?

事例検討 法人税の視点からみた事業承継・M&Aの実務ポイント 小松誠志 著 大蔵財務協会刊

法人税の視点からの事業承継やM&Aといえば、いわゆる「事業承継税制」による相続税や贈与税の納税猶予・免除が注目されがち。だが、著者は「どのような形で承継させたいのか」「その望む形での事業承継を実現させるためには具体的にどのような手法があるのか」「それらの手法を採る場合にその会社等にどのような課税関係が生じるかの検討をすること」の3点が最も重要だと指摘する。つまり本書は「相続対策の本」ではない。

事例検討 法人税の視点からみた事業承継・M&Aの実務ポイント

本書は2章構成。第1章は基本編で、組織再編税制やグループ法人税制などの規定について、図表を用いて分かりやすく解説している。事業承継に関わらない人でも、税制を理解するのに有用な一冊だ。

第2章は具体的な事例をもとに想定する個々の事例をあげて、どのような手法の事業承継・M&Aが適しているかを含めた課税問題を解説している。

「相続前の会社分割による事業承継」や「相続後の会社分割による事業の分割」「親族以外の事業承継候補者の株式取得」「株式併合による株式の集約(スクイーズアウト)」など、親族経営の中小企業における事業承継で起こりがちな法人税の問題を簡易に説明している。

「買収対象事業の追徴課税リスクと分割の方法」など、事業承継M&Aの「落とし穴」といえる問題もカバー。「仮想経理(粉飾決算)の是正及び設立当初からの欠損金の損金算入」など生臭いが、ありがちな事例も盛り込んでいる。

税務についての解説書なので、文章は単純明快。その半面、無味乾燥なため事業承継税制に関心がある読者でなければ読破するのは辛いかもしれない。その場合は目次を見て興味のある部分を拾い読みすることをお勧めする。(2021年6月発売)

文:M&A Online編集部

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