数あるM&A専門書の中から、新刊を中心にM&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。選書の参考にしてみては?
「マンガ あなたの夢を叶える!ネットでスモールM&A」 大山敬義 著 クロスメディア・パブリッシング刊
4年前に企画会社を起業した元中堅広告代理店のデザイナー・河西神凪(カンナ)と、共同経営者の松村彩芽(彩芽)の2人の女性が、老舗の和菓子店の事業を譲り受ける過程をマンガで紹介したのが本書。
「本当にいい商品の魅力を引き出し、多くの人の手に届くような仕事がしたい」という夢を持つカンナと彩芽が、個人商店やスモールビジネスなど小規模な事業の売却案件をネットで紹介するM&Aプラットフォームと出合うところから、M&Aを巡るやり取りが展開していく。
和菓子店は創業150年ほどで、後継者が不在のため、和菓子の伝統を理解し、事業を継いでくれる人を探していた。カンナらと和菓子店の経営者の思いが一致し、一旦はM&Aが成立しかけたものの、直前になってライバルが現れ、交渉が打ち切られることになった。
諦めきれないカンナと彩芽は、和菓子店買収後の詳細な経営計画を練り上げ、再度プレゼンの機会を得たが「どんな緻密な計画でも実行できなければ所詮は机上の空論」と一蹴されてしまう。
それでもカンナは「素晴らしい商品を多くの人たちに知ってもらいたい」との熱い思いとともに、使用材料の変更や商品構成の見直し、店舗の改装、商品のPRなどのアイデアを矢継ぎ早に提案し、最後には「この人たちに暖簾を継いでほしい」との発言を引き出し、勝利をつかんだ。
だが、その喜びもつかの間、事業を譲り受ける1カ月前になって、和菓子店の従業員から退職の申し出があり、さらに仕入れ先が取引に難色を示すなどの問題が持ち上がった。これら問題を何とか乗り超え、店舗をリニューアルオープンし、2号店出店の計画も進み出した1年後で物語は結びとなる。
マンガだけでなく、場面が展開するごとに解説のページが設けられているほか、カンナと彩芽の会話形式でネットを活用したM&Aの情報も取り上げている。
長年M&Aに関わってきた著者は、ここ数年で日本中に広まってきたネットM&Aと、従来のM&Aは全く異なる世界であるとしたうえで「二人の女性が自らネットサービスを使い、M&Aを実現させるまでのリアルな過程を描くことで、ネットM&Aのイメージが持てるように工夫した」という。(2021年7月発売)
文:M&A Online編集部
数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。今回は「日米実務の比較でわかる 米国アウトバウンドM&A法務の手引き」を紹介する。