「バルミューダフォン」にコンセプトが近いのは、高価格のデザイン家電を手がけるamadana(アマダナ)が2008年2月に発売した「amadanaケータイ」だろう。2011年6月に発売された4代目の「MEDIAS WP N-06C」でスマホに転換した。
ただ、同社の端末は量販機種の本体カラーやロゴ、初期画面を変更しただけの「コラボモデル」で、独自に開発したモデルではない。参入リスクは小さいが、それほど「うま味」もなかったのだろう。アマダナは「MEDIAS WP N-06C」を最後にスマホを発売していない。
スマホを手がけたベンチャーのうち、「消滅」した2社はいずれも低価格スマホを手がけていた。低価格スマホは量産がカギで、日本だけでなく中国や米国といった大市場での販売に成功しなければ存続は難しい。一方、「バルミューダフォン」のような高級スマホであれば日本市場だけでも勝機はあるだろう。
ただ、「バルミューダフォン」は他社製品では6〜8万円台のスマホと同等のCPUが搭載されており、ディスプレーも有機ELより安価な液晶が採用されているなど、ハードの性能面から見れば割高だ。
「バルミューダ」のブランドイメージが高いのは事実だが、例えばスマートウォッチでコラボモデルを展開する「エルメス」には及ばない。デザインだけで高価格商品として訴求できるかどうかは不透明だ。
はたしてバルミューダは、国産スマホベンチャー初の成功を収めることができるのか?技術基準適合認定問題が解決した後の仕切り直しに注目したい。
文:M&A Online編集部
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