給与は2倍、3カ月の長期休暇の国も…外国人労働者確保で取り残される日本

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コロナ水際対策緩和で外国人労働者の確保に期待はかかるが…(写真はイメージ)

円安と本国での賃金上昇が労働者を日本から遠ざける

さらにオーストラリアでは年間9カ月働けば残り3カ月は自由に行動できるなど、労働者には魅力的な条件も提示した。オーストラリアが受け入れるベトナム人労働者は年間1000人と少人数だが、好条件だけに優秀な人材が応募するのは間違いない。ベトナム人の出稼ぎ労働者にとって、日本は「すべり止め」の働き先になりそうだ。

円はベトナムドンに対しても今年に入って20%近く下落しており、本国に送金すればオーストラリアに比べてはるかに低い賃金がさらに目減りする。一方、ベトナムの最低賃金も今年7月に約6%上昇していて、円安とのダブルパンチで日本に出稼ぎする魅力は薄れてきた。

2015年までは最も多く技能実習生を日本に送り込んでいた中国が、現在ではベトナムの3分の1程度となっているのも中国での賃金水準が上昇しているからだ。

2019年には9万人を超えたベトナム人技能実習生が、より賃金と待遇が良いオーストラリアなどに流れたり自国内での就業を選ぶようになれば、日本の農水産業や繊維産業、建設業などが働き手を失うことになりかねない。

日本はベトナム以外でもインドネシアやフィリピン、ミャンマーなどの東南アジア諸国から技能実習生を受け入れているが、年間6000〜1万6000人程度と少ない。しかも、円安や他国との人材獲得合戦といった外部環境は変わらず、ベトナム人技能実習生が抜けた穴を埋められるかどうかは不透明だ。

文:M&A Online編集部

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