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英ジョンソン首相がウクライナに一番乗りした「意外な理由」とは

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キーウを訪問したジョンソン英首相(左)と話すゼレンスキー大統領(Photo By Reuters/UKRAINIAN PRESIDENTIAL PRESS SER)

真の狙いはブレグジットで低迷した「強い英国」の復活

英国はJEFをロシアとの軍事上の対抗手段として利用するだけではない。Brexit(ブレグジット)で2020年12月末にEUを離脱して1年余り。EUとの貿易は伸び悩み、英国財界からは経済的な「孤立」を懸念する声が高まっている。欧州での政治的な影響力も、相対的に低下した。

JEF参加国のうち、ノルウエーとアイスランドはEUに加盟しておらず、スウェーデンとフィンランドはNATOに加わっていない。こうした「外れ者国家」を束ねる枠組みがJEFなのだ。将来は参加国の経済的な結びつきを強め、英国主導による「第2のEU」づくりも考えられる。

しかし、軍事同盟はともかく、EU非加盟国家を束ねたところで英国にメリットはあるのだろうか?実はJEFに参加する北欧や旧ソ連諸国はIT産業が極めて強い。無料ビデオ通話アプリの「Skype」や音楽配信アプリの「Spotify」などは北欧で開発されたし、電子政府で世界最先端を走るエストニアをはじめとするバルト3国もIT産業が盛んだ。

ウクライナも欧州屈指のリモート開発拠点で、20万人もの開発者が活躍している。Unity3Dゲーム開発者やC++エンジニア数で世界第1位、JavaScript、Scala、Magento開発者数では第2位というIT大国だ。

もしもJEFが経済連合に発展すれば、英国の金融サービスと北欧・旧ソ連圏のIT技術を組み合わせた世界でも屈指の「サイバー経済圏」を形成できる。ブレグジットで迷走する英国経済を立て直す「有望な選択」と言えるだろう。英国のウクライナ救済の裏には、自国の政治的プレゼンスと経済の振興による「強い英国の復活」戦略が存在していると見てよさそうだ。

文:M&A Online編集部

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