都内中小製造業、事業承継希望の半数が後継者未定|東京都調査

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東京都が都内中小製造業者に実施したアンケート結果によると、事業承継を希望する企業の半数超で現実的な後継者が決まっていない実態が明らかになった。コロナ禍の長期化や原油・原材料価格高騰で事業環境の厳しさが増す中、後継者マッチングの重要性がますます叫ばれることになりそうだ。

アンケート結果は都が6月16日に発行した2021年度の「東京の中小企業の現状(製造業編)」に記載。無作為抽出した1万社のうち2,527社(有効回収率29.6%)が回答した。

2社に1社が承継を予定

事業承継についての希望・方針は「まだ決めていない」(40.0%)が最多で、従業者規模1~3人の企業では54.4%と半数を超えた。ただし、「子・子の配偶者に継がせたい」(28.8%)、「従業員に継がせたい」(9.4%)、「誰でもよいから継がせたい」(5.3%)、「外部の人間に継がせたい」(1.2%)などを合わせた「事業承継予定」の割合は全体で50.1%に達した。

「事業承継予定」は食品・飲料で59.3%と高く、うち40.6%は「子・子の配偶者に継がせたい」と回答。業種別を見ると、電機・電子は「従業員に継がせたい」(16.4%)が目立ち、住宅・建物は「まだ決めていない」が45.7%に達した。

中堅企業の1割、「誰でもよいから継がせたい」

また、事業承継を予定する4~99人の企業は30%余りが「子・子の配偶者に継がせたい」と答えたが、100人以上の企業では21.8%に低下。その一方で、「誰でもよいから継がせたい」が9.1%に上った。

「事業承継予定」の企業の後継者は「決まっている」がトップの48.3%。材料・部品(金属)の57.0%、100人以上の企業の51.0%も決定済みだが、全体では半数に届いていない。「候補はいるが決まっていない」は25.0%、「まだ決める必要がない」は14.7%だった。

事業継続に4割が慎重、消極的

今後の事業継続の意向は54.6%の企業が「事業を続けたい」とした半面、「わからない・まだ決めていない」(27.0%)、「廃業の予定」(17.6%)の慎重派・消極派も40%を超える。食品・飲料は「事業を続けたい」が67.1%だったが、衣料・身の回り品は「廃業の予定」が24.7%と多く、1~3人の企業では32.1%まで増えた。

廃業を決意した主な理由は「経営者の高年齢化」(36.9%)を筆頭に、「後継者の不在」(24.9%)、「経営の先行き不安、経営悪化の回避」(17.3%)が上位に並んだ。

承継課題の最多は「業界の将来性への不安」

事業承継の課題(複数回答)は「業界の将来性への不安」が最多の35.4%で、事業継続の意向について「わからない・まだ決めていない」とした企業の割合(44.5%)が高い。その他の課題は「業績不振」(28.7%)、「適切な候補者の不在」(24.4%)が続いた。

社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が推進される中、紙・印刷は「業界の将来性への不安」が46.2%を占めた。コロナ禍の影響を大きく受けた衣料・身の回り品の40.7%と、経営基盤が比較的弱い1~3人の企業も35.4%が「業績不振」を挙げた。

「コロナ禍前より売り上げ減」が7割

ビフォーコロナの3年前と比べた年間売上高の推移は67.8%の企業が「減少」と答え、「増加」はわずか11.3%。「減益」も56.9%に達し、「増益」は14.6%にとどまる。

経営者の年齢層で最も多いのは「70歳以上」(36.2%)で、うち29.0%が廃業を予定。全体の傾向と同様、事業承継の課題は「業績不振」(31.1%)が「適切な候補者の不在」(19.3%)を大きく上回ることから、後継者問題の解決に限らない多面的な支援策が急務となっている。

文:M&A Online編集部

関連リンク:「令和3年度 東京の中小企業の現状(製造業編)」|東京都

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