中小企業庁は、2022年1月20日、第2回事業承継ガイドライン改訂検討会を開催し、2022年3月頃に予定されている事業承継ガイドライン改訂に向けて、その検討方針と改訂案の暫定版を公表しました。
中小企業庁は、中小企業の円滑な事業承継のための手引きとして、2006年6月に事業承継ガイドラインを策定しましたが、その後の中小企業経営者の高齢化の進展等を踏まえ、事業承継に向けた早期・計画的な取組の促進を目的として、2016年12月に10年ぶりの改訂を行いました。今般の事業承継ガイドライン改訂は5年ぶりとなりますが、その背景には、2016年の改訂後、中小M&Aの支援策が拡充してきた一方で、コロナ禍により事業承継を後ろ倒しにしたり廃業したりする中小企業が増加していることが挙げられており、改訂版にはこれらの環境変化を踏まえた最新データが反映される予定です。このほか、従業員後継者による承継が近年増加していることも踏まえ、従業員承継の典型的なモデルを提示したり、業種・地域等の属性に応じた事業承継の取組状況に関するデータ・事例を追記したりする方向で検討されており、2022年3月頃開催の次回会合で、改訂案の最終確認が行われる予定です。
事業承継ガイドライン改訂と併せて、中小PMIガイドライン(仮称)の策定も進められていますが(詳細は Client Alert 2021年11月号(Vol.95) をご参照ください。)、両ガイドラインによって中小企業の事業承継が促進され、技術やノウハウが次世代に円滑に引き継がれることが期待されます。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 芝村 佳奈
相続税は数年に1回大きな改正が入ることが最近、定例になっている。多くの人が知っているのは、2015年に行われた相続税の基礎控除の改正であろう。実は2019年にも大きな改正があったことをご存知だろうか。