事業承継・引継ぎ補助金の公募要領 全類型が出そろう

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経済産業省・中小企業庁

中小企業庁は4月28日、2021年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」における「経営革新事業」の公募要領を公表した。事業承継やM&Aを契機とした事業再構築や設備投資、販路開拓、経営統合作業(PMI)などに挑戦する際の費用を補助する。先に公表された「専門家活用事業」と新設の「廃業・再チャレンジ事業」を併せ、すべての事業の公募要領が出そろった。

補助上限は600万円

「経営革新事業」は「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」の3類型で、「創業支援型」は他事業者の経営資源を引き継いでの創業をサポートする。「経営者交代型」は親族内などの事業承継、「M&A型」は事業再編・統合による経営革新などを支援する。

対象となる経費は設備投資費や人件費、店舗・事務所の改築費などで、補助上限は600万円。対象経費が600万円までの補助率は3分の2で、補助額のうち400万円~600万円は2分の1に増える。さらに、少なくとも1つの事業所、事業の廃業・廃止を条件に廃業費(補助上限額150万円)を上乗せする。

第1回公募のみ事前着手を措置

一方、生産性向上要件(付加価値額または1人当たりの付加価値額の伸び率が年3%以上を含む)を満たさない計画の補助上限額は400万円とする。補助下限額100万円を下回る申請(補助対象経費150万円未満)は受け付けない。

補助事業期間は交付決定日から2023年1月31日まで。ただし、交付申請時に事前着手の届け出を申請して事務局の承認を受けた者は、補助対象事業の開始日を2022年4月28日まで繰り上げることができる。事前着手の対象は第1回公募のみで、第2回公募以降は措置しない。

「廃業・再チャレンジ事業」の併用も可

なお、M&Aの支援業者に支払う手数料やデューデリジェンス(DD)の費用などを補助する「専門家活用事業」は「買い手支援型」「売り手支援型」に区分される。補助上限額は600万円(M&A未成約時は300万円)で、補助率は3分の2。ファイナンシャルアドバイザー(FA)・M&A仲介業者への経費は、国の「M&A支援機関登録制度」に登録したFA・仲介業者のサービスに限り認められる。

また、「廃業・再チャレンジ事業」は事業承継・M&Aを伴う廃業に係る原状回復費、在庫処分費などを補助する。補助上限額は150万円(補助率3分の2)。従来は「経営革新事業」「専門家活用事業」の枠組みごとに廃業費用を上乗せしたが、単独で活用できる事業枠を設けた。事業承継・M&Aで一部事業を廃業、あるいはM&Aが成約に至らないまま廃業する場合、「経営革新事業」「専門家活用事業」を併用できる。

各事業の申請受付を順次開始

「専門家活用事業」は4月22日、「廃業・再チャレンジ事業」は同28日に電子申請(Jグランツ)による申請受付を順次開始した。残る「経営革新事業」の申請受付期間は後日、「事業承継・引継ぎ補助金Webサイト」で周知する。いずれの事業も申請期間を4期間に分け、M&Aなどのタイミングに合わせて申請しやすくする。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
中小企業庁:令和3年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」の公募を開始しました (meti.go.jp)
公募要領等ダウンロード | 令和3年度 補正予算 事業承継・引継ぎ補助金 (jsh.go.jp)

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