拡大続く「電子コミック」 企業買収や産学連携が活発化 LINE、ヤフー、DMMなど

alt
写真はイメージです

コロナ禍の中、拡大が続く電子コミック市場で、関連企業などの動きが活発化してきた。

電子コミックサービス「LINEマンガ」を運営するLINE Digital Frontier(東京都新宿区)は2022年3月31日に、電子書籍販売サービス「ebookjapan」などを運営するイーブックイニシアティブジャパン(東京都千代田区)の全株式を取得し子会社化した。

オリジナルコンテンツの企画制作を手がけるGIGATOON Studio(東京都港区)も同日、クリエイターやアーティストを育成するアミューズメントメディア総合学院(東京都渋谷区)と共同で、オリジナル縦読みマンガの制作に乗り出した。

全国出版協会・出版科学研究所(東京都新宿区)によると、2021年の電子コミック市場は前年度比20.3%増の4114億円と初めて4000億円を突破した。コロナ禍の自粛生活で拡大した新規ユーザーがそのまま定着して電子コミックを購入しているのが要因という。

今後も拡大が見込める同市場では、企業買収や産学連携などの前向きな動きが加速しそうだ。

作家のグローバル市場への進出を後押し

LINE Digital Frontierは、スマートフォンやタブレットでマンガが楽しめる「LINEマンガ」を運営しており、2020年に米国の電子コミック大手のWEBTOON Entertainment Inc.の傘下に入った。

民間の信用調査機関によると2020年12月期の売上高は前年度比1.0%減の61億円で、当期損益は29億6200万円の赤字(前年度は16億900万円の黒字)だった。

一方のイーブックイニシアティブジャパンは、ウェブを中心に電子書籍販売サービス「ebookjapan」と、紙書籍オンライン販売サービス「bookfan」を運営しており、大株主であるヤフー(東京都千代田区)と連携している。

同信用調査機関によると2021年3月期の売上高は同40.7%増の299億5100万円で、当期利益は同21.7 %増の6億6300万円だった。

LINE Digital Frontierによると「LINEマンガ」と「ebookjapan」を合算した2021年度の国内流通総額は765億円を超えており、日本国内で展開する電子コミックプラットフォームとしては最大になると見込みという。

子会社化によって、マンガ作品のラインナップの拡充や、作家の発掘、作家のグローバル市場への進出支援などにも取り組む計画だ。

2022年中に複数作品を配信

GIGATOON Studioは、デジタルコンテンツの配信を手がけるDMM.com(東京都港区)のグループ会社で、アミューズメントメディア総合学院は、2年間でエンターテインメント業界の第一線で活躍できる人材の育成を目的とする教育機関。

両者は、原作部門、作画部門で、それぞれアミューズメントメディア総合学院の在校生と卒業生から参加者を募り、応募者の中からDMM.comが運営する電子書籍配信サービス「DMMブックス」の中で配信するオリジナルコミックを制作する。オリジナルコミックは2022年中に複数作品を配信予定だ。

電子コミックは、日本だけでなく海外でも成長が見込まれており、日本はもとより海外企業も含めたM&Aや提携などに関心が集まりそうだ。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

配達員の手数料が重くのしかかる「出前館」先行投資で赤字拡大

配達員の手数料が重くのしかかる「出前館」先行投資で赤字拡大

2021-07-09

出前館の2021年8月期第3四半期売上高は前期比171.0%増の184億9,300万円となったものの、129億円もの営業損失を計上し、純損失は147億円となりました。同社は配達員のインセンティブを高めに設定しており、先行投資ともいえる戦略で赤字が膨らんでいます。