懸念材料は、ここ数年一種のIPOバブルが続き、バリュエーション(企業価値評価)が膨らんでいることです。その結果、売り上げがほとんど上げらておらず、利益も出ていないのに100億円のバリュエーション(企業価値評価)が付くような企業が出てきてしまうわけです。すると大量の資金を投資した株主たちは、100億円以上でなければ売らないということになりますが、高すぎれば売れません。現在、この問題がバイアウトを妨げています。
一方、ベンチャー企業経営者にとってもバイアウトは魅力的です。仮にIPOをすれば、新たなスタート台に立ったことになり、さらに死にもの狂いで経営していかなければなりません。また、持ち株のせいぜい数パーセントしか売ることはできないので、手にするお金も限られます。それに対してバイアウトなら経営から解放されるし、一気に大金が入ってきます。本音ではバイアウトに魅力を感じる経営者は少なくないはずです。ただ、個人的にはこれからも「社会を変えたい」「そのためは上場するしかない」とエネルギーを持って突っ走る経営者を、こちらも熱意を持って応援していきたいですね。(完)
まとめ:M&A Online編集部
2016年4月1日、電力の小売が全面的に自由化された。このイベントをトリガーに、M&Aが進むのでは、と唱えるのはエネルギー産業分野の第一人者、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授・橘川武郎氏だ。