「ルノーに吸収合併される」という究極の選択

日産にとって、いま考え得る最善の方法はルノーに吸収合併され、完全に1つの会社になることだ。「ただでさえルノーの経営支配に苦しんでいるというのに、吸収合併とは何事だ!」と思われるかもしれない。だが、最悪の事態は吸収合併ではなく、持ち株会社の下でルノーと日産がぶら下がる形の経営統合なのだ。なぜか。

ルノーとの経営統合は避けられない状況に(同社ホームページより)

おそらくルノーが進めようとしている日産支配は、持ち株会社の下に事業会社を置く方式だろう。「日産の独立性を保つためだ」と、いかにも配慮したかのような理由づけをするだろうが、そうではない。日産を事業会社として独立させることで、万が一の場合は容易に関係を解消できるからだ。

マクロン政権は日産にフランス国内で新工場や開発拠点などの投資を促し、雇用を拡大するなどの「経済効果」を狙っている。もちろん、それが日産の利益にも合致すれば文句はない。だが、自動車市場が小さいうえに日本車のシェアが低いフランスに設備投資をしても、日産にメリットはないのだ。

こうした投資を無理強いされ続ければ、いずれ日産の業績や財務体質は悪化する。大幅な赤字転落となれば、持ち株会社の存続も危うい。そうなった時に1事業会社である日産を切り捨てるのだ。

「まさか!」と思われるかもしれない。しかし、日本の自動車メーカーで、その「憂き目」にあった自動車メーカーがある。現在はルノー、日産とアライアンスを組んでいる三菱自動車工業<7211>だ。

同社は日産がルノー傘下に入った直後の2000年7月に大規模なリコール隠しが発覚し、経営が悪化。同年10月には独ダイムラー・クライスラー(現・ダイムラー)と資本・業務提携を結ぶ。

2003年1月にダイムラーは三菱自動車から、稼ぎ頭だった商用車部門を三菱ふそうトラック・バスにとして分離した。翌年4月には三菱自動車の業績悪化を理由にダイムラーが追加支援を中止し、経営から撤退する。

しかし、前年に独立させた三菱ふそうトラック・バスは手放さなかった。ダイムラーは現在も三菱ふそうトラック・バスの発行済み株式の89.29%を持ち、同社を完全に支配している。

自動車業界では資本提携当初から「ダイムラーは商用車部門だけを乗っ取るために、三菱自動車を支援した」と囁かれていたが、実際その通りになった。三菱自動車の乗用車部門は商用車部門を手に入れるために「つまみ食い」されたに過ぎなかったのだ。