
あまりに有名な作品のリメイクは、制作陣のプレッシャーもかなりのものに違いない。本作も例外ではなく、だからこそ初演の焼き直しには絶対しない、という意志がみなぎっているようだ。
パピヨンとドガ二人の関係に焦点を絞っているのもその1つだろう。初演で描かれたパピヨンの変化・・・徒刑場や脱獄を繰り返すたびに出会う人々との交流を通じて変わっていく・・・は、人は人に影響され新たな自分を見つけることができると私たちに教えてくれる。今回は対象をパピヨンとドガに絞り、初演とは異なる新たなストーリーを展開する。
徒刑場に着くまでの船内で起こる血なまぐさい事件をきっかけに、守り守られるドガとパピヨンの契約関係がはじまる。そんな二人の関係は、徒刑場に着いてからより強固になる。看守と手を組んだ囚人たちが襲い掛かると、水浴び中で丸腰ながらもパピヨンは立ち向かい、ドガは見ていることしかできない。現代も多くの囚人が晒されているという、地獄のように劣悪な収監環境を生々しく描き出す。同時に、物語が進むに連れて起こる、ドガの芯の強さを感じさせる大きな出来事への予兆ともいえるだろう。
初演『パピヨン』でも印象深い、独房でのシーンは必見だ。孤独と飢えに耐えるパピヨンに、ドガが手をまわし毎日ココナツの実を割った物が差し入れられる。所長にそのことがばれたパピヨンは、沈黙を守り食事を半分に減らされるか、ドガの名前を白状して食事を得るか試される。
身体と精神、どちらの崩壊が先か。あるいはどちらも取り返しのつかない所まで蝕まれてしまうのか、独房の中テラテラと青白く光るパピヨンの瞳が忘れられない。自由への執着、生き抜いてやるという覚悟は、脱獄を繰り返す度に高まるようで、今度こそ! 次こそは! と私たちに希望を与える。そしてパピヨンの自由への切望は、脱獄常習犯の行く末、最期の地と言われる悪魔島に送られてもなお変わらない。
悪魔島でドガとパピヨンの繋がりはより深まる。流れに身を任せるようにパピヨンと過ごしてきたドガが「自分はこうしたいんだ」と伝える時、それまでの彼の繊細さや危うさを知っているだけに、自分がパピヨンだったら・・・と考える。
もしかしたら「お前の意思なんていいから!」なんて言ってしまうかもしれない。だがパピヨンはそうしない。信頼しているからこそドガの意思を尊重し、自分の意のままに動かそうなんて考えもしない。二人の選択にすーっと胸が爽快になった。

《作品データ》
映画『パピヨン』
6月21日(金) TOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開中
監督:マイケル・ノアー
脚本:アーロン・グジコウスキ『プリズナーズ』
出演:チャーリー・ハナム『パシフィック・リム』『キング・アーサー』 / ラミ・マレック『ボヘミアン・ラプソディ』 / トミー・フラナガン『エイリアンVSプレデター』 / イヴ・ヒューソン『ブリッジ・オブ・スパイ』
原作『パピヨン』4月河出書房新社より発売中
文:宮﨑千尋(映画ライター)
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