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「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」の改正等

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厚生労働量(yu_photo / shutterstock.com)

厚生労働省は、2026年1月20日、「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」(「事業譲渡等指針」)の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示11号)を告示しました。本改正は、2026年5月25日から適用される予定です。

事業譲渡等指針は、会社等が事業譲渡又は合併を行うに当たり、事業譲渡における労働契約の承継に必要な労働者の承諾の実質性を担保し、労働者及び使用者との間での納得性を高めること等により、事業譲渡及び合併の円滑な実施並びに労働者の保護に資するよう、会社等が留意すべき事項を定めるものです。

本改正は、事業性融資の推進等に関する法律(「事業性融資推進法」)により、新たに企業価値担保権が創設されたことを踏まえ、企業価値担保権の設定・実行に当たって、労働者への配慮の観点から行うべき事項等を事業譲渡等指針に追加するものです。企業価値担保権は、不動産担保等に過度に依存しない、事業の将来性に基づく融資を後押しするための制度であり、会社の総財産を担保目的財産とし、事業全体の価値を担保価値として捉えるものですが、担保目的財産の換価は原則として事業譲渡によるとされ、労働者の賃金は、優先的に弁済されることとなっております。

本改正により、①企業価値担保権の設定に当たり、会社が、会社の置かれている環境や経営課題等について、会社の状況に応じて労働者と意見交換を行い、労働者及び労働組合等の意見も踏まえながら、労働組合等に対する情報提供等の促進に向けて取り組むことが望ましいこと、②事業性融資推進法の規定により選任された管財人が、労働組合等に対し、労働者の権利行使に必要な情報を提供するよう努めること、③担保財産の換価に当たって、事業譲渡の金額の多寡のみを問題とするのではなく、雇用の維持や取引関係の維持、その他多様な事情を考慮して最も適切な承継先を選定することが求められること等が、事業譲渡等指針に新たに規定されています。

なお、金融庁においても、事業譲渡等指針の改正に伴い、「事業性融資の推進等に関する法律等に関する留意事項について(事業性融資の推進等に関する法律等ガイドライン)」について所要の改正が行われています。

企業価値担保権は、事業の将来性に着目した融資を後押しする制度として期待される一方、労働契約の取扱いを含む労働者保護が問題となり得ます。今後、企業価値担保権を活用したファイナンスや、その実行局面における事業譲渡の検討に際しては、労働関係上の手続・対応を含めた実務上の検討が重要になると考えられます。

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 安藤 大貴

森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2026年5月号(第149号)より転載

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