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簡易株式交換手続に対する反対通知に個別株主通知が必要とされた事例(東京高決令和6年10月16日)

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東京高等裁判所

東京高裁は、2024年10月16日、会社法796条3項に基づく簡易株式交換手続に対する株主の反対通知を行うことは、振替法154条1項に規定する少数株主権等の行使に当たり個別株主通知を要する旨、及び個別株主通知は反対通知の期限内にすることを要する旨の決定を行いました(「本決定」)。

本決定においては、種々争点はあったものの、簡易株式交換手続に対して期限内に反対通知(個別株主通知は期限の2日後に実施)を行ったのであるから、会社法796条3項により当該株式交換につき株主総会決議による承認を受ける必要があったという株主の主張が主に争われ、当該反対通知の適法性の判断に当たって、①株主は簡易株式交換手続に対する反対通知につき個別株主通知をすることを要するか、②要するとした場合にいつまでにすることを要するかが問題となりました。

本決定の結論は上記のとおりであり、特に、上記②の結論については、反対通知をすることは、振替法154条1項の規定する少数株主権等の行使に当たると解されるところ、少数株主権等については個別株主通知がなされた後でなければ行使することができない(振替法154条2項)とされていることとも整合的であると考えられます。他方で、本決定に対しては、通常、4営業日を要する個別株主通知の手続が、株主の権利行使期間を実質的に奪っているという指摘もなされているところです。

本決定の結論は、簡易株式交換を含む簡易組織再編の手続や簡易事業譲受けの手続に対する株主の反対通知についても基本的に妥当するものと考えられるため、今後、反対通知を含めた株主の権利行使の実務の指標となると考えられます。

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 相原 海斗

森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2025年12月号(第144号)より転載

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