-経営権を取得するためファンドなどから資金調達されています。どのような出口戦略をお持ちですか。
これと言って何かを決めているわけではありません。従業員の方々が今回のこの承継自体を受け入れてくださることが、この会社の価値を上げていく上では最重要課題ですので、従業員の方からの信頼を獲得することにフォーカスしていきたいと考えています。
この会社は成長の可能性があると思っています。本当に素晴らしい技術がありますので、まずは企業を成長させる事に力を注ぎます。私が社長になって、成長できるという希望を持っていただくことが、すごく重要だと思っています。
-具体的な成長戦略をお教え下さい。
100日プランということで、まず会社の中の体制を整えることに注力していまして、それを超えたら5年後に売上高を2倍にするという目標のもとに、新規顧客の開拓と海外事業の拡大、販売チャネルの拡大に取り組みたいと思っています。
具体的には2022年5月期に14億円だった売上高を2027年5月期に2倍の30億円に高める計画です。ルームエアコンやカーエアコンのマーケットはどんどん拡大していくと予想されています。特に海外の伸びが大きく、中国やインド、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピンなどにどんどんマーケットが広がっています。こうした国々で新規顧客の開拓に取り組みます。
もう一つは新しい販売チャネルの構築です。これまでは直販が中心でしたが、代理店を使ったり、eコマースなども取り入れていきたいと考えています。
-今回サーチファンドを活用することで、企業経営にかかわることになったわけですが、こうした仕組みについてどのようなお考えをお持ちですか。
面白い仕組みだと思います。サーチファンドという仕組みがあれば、事業承継がスムーズにいくということと、経営者育成という観点でも成果が見込めます。社会的にも意味のある取り組みだと思います。
日本では今までは、なかなか企業の経営者になることは難しかったのですが、サーチファンドの仕組みを使えば、経営をさせていただけるチャンスがでてきます。やりようによっては、日本での事業承継だとか、経営者育成のスタンダードになるかもしれないと思います。
【Growthix Investment竹内智洋社長談】
私たちも経営者として中島新社長とともに、鹿島精機工業の中に入ってやっています。投資してから理解できることも多々ありますので、一つひとつ向き合って、何が一番この会社を大きくする上で必要なのかを、中島社長とともに考え実行していきます。
その中で特に従業員の皆様に信頼していただくことが重要だと考えており、一日でも早く従業員の方々に新経営陣に対する信頼を築いて、一緒にがんばれるチームを作っていければと考えています。(関連記事はこちら)
【中島祐氏】
1993年、オムロン入社 (オムロン台湾 CFO、オムロン中国本社経営企画課長)
2007年、リヴァンプ (ディレクター)入社
2008年、ミスミグループ本社(ミスミ台湾総経理)入社
2012年、産業革新機構(ユニキャリア中国事業部長)入社
2015年、ニトリホールディングス(ニトリ中国 組織開発室長)入社
2017年、リフォームステーション(専務取締役営業本部長)入社
2018年、ファミリーマート(オフィサー・ 新規事業開発部長)入社
2023年、鹿島精機工業代表取締役社長に就任
1993年、慶應義塾大学商学部卒業
2006年、国立台湾大学管理学院国際企業学研究所修士課程(MBA)卒業
文:M&A Online
UPBONDはWeb3を駆使して新しい事業の開拓に取り組んでいる。どのような事業を生み出そうとしているのか、同社の水岡駿CEO(最高経営責任者)に話をうかがった。