画像:https://www.akindo-sushiro.co.jp/news/detail.php?id=196
スシローは「ウニ」「キングサーモン」「天然黒マグロ」などの高級食材を、100円で提供し始めています。
「らーめん」や「フライドポテト」でファミレス化を図ったり、比較的高単価な店舗を開発したりと、意欲的な戦略をとっているようにも見えるスシロー。しかし、やはり低価格路線から抜け出ることはできませんでした。
2015年から新社長に就任した水留浩一氏は、スシローの経営戦略として、店舗拡大を挙げています。3年間で100店舗出店する計画。
職人気質の豊崎賢一氏は、取締役最高顧問に就任しています。豊崎氏の顧客目線のサービスは、立場が弱まったことで影を潜め、低価格だけが最大のセールスポイントに。苦肉の策で、飲食業界業績アップの快刀、店舗拡大を掲げたというわけです。
逆風が吹く回転寿司業界に、また新たな刺客がやってきました。ゼンショーが仕掛けた「はま寿司」です。はま寿司は465店舗で、スシローの450店舗を抜いて1位になりました(各社IR資料、公式HPより集計)。
売上高と店舗数ランキングはこんな感じです。
【売上高】
1位 | スシロー | 1362億円 (15年9月期連結) |
2位 | くらコーポレーション | 1053億300万円 (15年10月期連結) |
3位 | はま寿司 | 1010億3400万円 (16年3月期連結) |
4位 | カッパ・クリエイト | 803億2000万円 (16年3月期連結) |
5位 | 元気寿司 | 323億1800万円 (16年3月期連結) |
【店舗数】
1位 | はま寿司 | 465店舗(17年4月現在) |
2位 | スシロー | 450店舗(16年12月末) |
3位 | くらコーポレーション | 385店舗(16年10月末) |
4位 | カッパ・クリエイト | 346店舗(16年3月末) |
5位 | 元気寿司 | 280店舗(16年3月期末) |
ブランドを見てわかる通り、大手回転寿司チェーンはどれも低価格以上の価値が、打ち出せていません。出店による顧客の食い合いをしている構図です。
あえて違いを出すとしたら席数。スシロー、はま、くらが200席前後なのに対し、カッパは150、元気は100です。席数を減らすほど賃料・人件費などの固定費が小さくなります。その分、店舗売上高も減る代わりに、利益が出せるという構図です。
スシローは都市型店舗として、100席前後の店を試験的に出しました。今後は、固定費・変動費、回転率などを追求した経営戦略へと軸足を移すのでしょう。緻密なデータの蓄積で、小さく利益を稼ぐ形です。
チマチマした戦略は経営にとって大事な要素です。が、ファンドも投資家もデカく稼ぐことしか興味がありません。勢いを失ったスシロー。その姿は、回転寿司チェーンの限界を表しているのかもしれません。
文:麦とホップ@ビールを飲む理由/編集:M&A Online編集部