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ペルミラ大誤算の一つはここにあります。2012年当時、東日本大震災の復興需要により、円需要が旺盛でした。77円という驚異的な円高に見舞われていたのです。
その後、安倍政権と黒田日銀総裁による異次元緩和で、大変な勢いで円安へと傾きました。
ロイターの記事をドル換算にすると…。
○2012年の800億円→10.3億ドル
○2016年の1500億円→13.2億ドル
旨味はほとんどありませんね。企業価値をどれだけ上げても徒労。こうなると、ペルミラが抜本的な経営改革を行なって、更なる企業価値を上げるという選択はありません。
しかしペルミラも、よくこんな時期に日本の企業を買いましたね。そしてユニゾンの売却時期も絶妙です。
泣きっ面に蜂。ペルミラの誤算はもう一つありました。魚価の高騰です。
IMF Primary Commodity Pricesによれば、1キロあたりの魚価は、2012年の4.8ドルから2016年の7.1ドルへと高騰しています。
背景には中国やインドなどの需要があります。環境変化の世界的な漁獲量の減少も要因の一つです。
【1キロあたりの魚価推移】単位:米ドル($)
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 |
4.8ドル | 6.8ドル | 6.9ドル | 5.3ドル | 7.1ドル |
お気づきかと思いますが、恐ろしいのはドルで表記されていること。これを円安気味の日本が輸入していると考えると…。
○2012年の4.8ドル→369.6円
○2016年の7.1ドル→802円
単純計算でこうなります。もちろん、スシローは国内1位の巨大企業ですので、為替リスクをヘッジする施策をとっているでしょう。
それにしても食材原価が厳しい水準であることは否めません。いわば、回転寿司業界そのものが苦境に立たされているのです。
スシローは原価率50%をうたっています。通常の飲食店が30%前後ですから、飲食業界の中でも高めに設定されています。仕入原価がかつての倍以上の金額になっているのだからたまりません。
ペルミラの誤算の二つ目はここにあります。「魚価がここまで高騰するとは…、トホホ」。どれだけ売上を大きくしても、利益は稼げないという泥沼です。
そして追い打ちをかけるのが、回転寿司業界全体の低価格路線と、各社出店加速の傾向です。