上記要約の4項では、「純利益の10分1を無税で得る」という取り決めがある。これはいわば役員報酬に近いだろう。タックスメリット(無税)まで勝ち取っている点も驚きだ。
そして筆者が最も注目しているのはやはり5項だ。自分自身も航海に対して出資することで、シェアに応じた成功報酬を得るという取り決めだ。4項が役員報酬なら、5項は出資者配当だ。役員報酬(税引き後利益の10%)+出資者配当(配当利益の12.5%)。現代の感覚でざっくりいうと、これがコロンブスの成功報酬パッケージだった...
前回のコラムでは、コロンブスがその初航海の途上でカトリック両王に送ったとされる書簡について触れた。そして、彼の航海には真のスポンサー「ルイス・デ・サンタンゲル」という宮廷ユダヤ人がいたことに触れた。今回はまず彼の出自とその業務を確認しよう。
ユダヤ教徒は貿易業などの本業を営みつつ、多角化の一環として金融業を早くから営んでいた。ユダヤ教徒の金融業の発展過程とその背景について書いてみたい。キーワードは「宮廷ユダヤ人」だ。そして舞台はイベリア半島(現在のスペインとポルトガル)である。
米国経済の本質的根幹をなすのは起業家精神ではないか。少なくとも米国人は本音ではそう思っているのではないか。さもなくばデュアルクラスのような仕組みを制度として市場が許容することの説明がつかない。では、こうした起業家精神の源流は一体なんなのか。