一見よく似た単語で、普段はあまり気に留めていないが、実は少しばかり意味が違う場合がある。例えば、「飛行機」と「航空機」。「預金」と「貯金」もしかり…。どう使い分けたらいいのだろう?
7月23日の東京五輪開会式に合わせ、都心上空にカラースモークで五輪マークを描いたのは航空自衛隊の「ブルーインパルス」。このアクロバット飛行に使われた乗り物は「飛行機」が正解だ。「飛行機」は「航空機」の一種なので、「航空機」と呼んで差し支えない。
それでは救助活動や救命医療で活躍するヘリコプターはどうか。こちらは「航空機」ではあるが、「飛行機」ではないのだ。
頭の中がこんがらがってきそうだが、「航空機」は空を航行する機器の総称。したがって、ヘリコプター、グライダー、飛行船なども含まれる。
これに対し、「航空機」のうち、旅客機や戦闘機のように動力装置を持ち、固定翼で揚力を得て飛ぶ乗り物を「飛行機」と呼ぶ。ヘリコプターの場合、動力装置を備えるものの、回転翼のため、「飛行機」には含まれない。
同じく乗り物で気になるのが「電車」「汽車」「列車」という表現。いうまでもなく、電気を動力源として走るのが電車。一方、今では目にする機会がほとんどないが、蒸気機関車が客車や貨車を引いて走るのが汽車。「汽」は蒸気を意味する。列車という場合は、線路(厳密には営業線)を走っているすべての車両のことを指す。
さて「預金」と「貯金」。おカネを預けるか、おカネを貯めるか、という違いだが、金融機関によって使い分けられている。銀行、信用金庫、信用組合などは預金で、ゆうちょ銀行(郵便局)、JAバンク(農協)などは貯金だ。
こうした違いは日本で近代的な金融機関が整備された明治初期にさかのぼる。かの渋沢栄一ら民間主導で創設された銀行は英語の「deposit(デポジット、預ける)」を元に預金としたのに対し、国の郵貯は「saving(セービング、貯める)」に由来するとされる。
「定規」と「物差し」も混同されることが多いが、実が違いがある。定規は線を引くための道具で、カッティングの際にも使う。目盛りが付いていても、端から少し余白がある。一方、物差しは物の長さを測る道具。定規と違い、目盛りは必ず端からあるので、長さを測るのに便利だ。
最後に、食卓でもおなじみの「鮭」の読み方は? 「サケ」「シャケ」のどちらでも問題がない。違いをあげれば、サケが本来の読み方で、これが転じてシャケとなったそうだ。実際、パソコンやスマホで打ち込めば、サケ、シャケのいずれも「鮭」の字が表示される。
文:M&A Online編集部
東京23区のど真ん中にある港区。ビルの谷間に鎮座するのが愛宕山(あたごやま)。そびえるという表現は似つかわしくないが、正真正銘、東京23区で一番標高が高い山なのだ。