都心のど真ん中を一周するJR山手線。2020年3月に49年ぶりの新駅として高輪ゲートウェイ駅が開業し、現在、30駅で結ばれている。平日朝夕のラッシュ時には2~3分間隔で運行され、首都圏屈指の利用客数を誇る山手線だが、実は踏切が存在していることをご存じだろうか?
その踏切とは「第二中里踏切」(東京都北区)。田端駅~駒込駅の間にあり、駒込駅から歩いた方が近く、5分ほどで到着する。長さが14メートル、幅が4.8メートルほど。見たところ、どこにでもありそうなごく普通の踏切で、すぐそばにあるゴルフ用品会社の巨大ゴルフボールのモニュメントの方が目を引く。
だが、鉄道マニアにとっては貴重なスポットなのだ。2005年に池袋~目白駅間の「長崎道踏切」が廃止された後、第二中里踏切は山手線の残る唯一の踏切となり、注目度が高まった。今ではマニアのみならず、都内を散策がてら、カメラを片手に撮影に訪れる人も少なくない。
もっとも、当の地元住民にとって「開かずの踏切」でもある。ピーク時は遮断機が降りたままになりやすく、1時間あたりの遮断時間は40分を超えるという。通行の安全確保を含めて、踏切廃止や代替計画が繰り返し検討されてきたが、ここへきてついに事態が動いた。
東京都が都市計画道路事業に着手し、踏切から約200メートル北東に山手線をまたぐ陸橋をつくり、歩道や自転車道を整備することを決めたのは昨年11月(今年3月、国土交通省が事業を認可)。総事業費は29億円。2029年の道路完成を待って、第二中里踏切は廃止される見通しだ。
「まーるい緑の山手線…」と大手家電量販店のCMにも歌われたように、路線ごとに定められたラインカラーはウグイス色(黄緑)。都心をぐるっと一周する山手線だが、正式な区間は品川駅から田端駅までの20.6キロメートル。田端~東京駅間は東北線、東京~品川駅間は東海道線で、3区間を合わせて山手線と呼んでいる。
大阪市内を一周する大阪環状線では2012年に最後の踏切が廃止となっている。まだ先は長いとはいえ、第二中里踏切が“山手線オンリーワン”踏切という称号を返上する日が現実味を帯びてきた。
文:M&A Online編集部
「恋」のつく地名は全国でおよそ15カ所。全国的には群馬県の嬬恋村(市町村名としては国内唯一)が有名だが、実は東京にも1カ所ある。国分寺市にある「恋ヶ窪(こいがくぼ)」がそれだ。