数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。
・ ・ ・ ・ ・
『夢のつかみ方、挑戦し続ける力~元宝塚トップスターが伝える~』 早霧 せいな著・河出書房新社
「私は将来、なにになりたいんだろうか」。中学生ともなれば、誰しもこんな疑問を思い浮かべることだろう。夢が決まっていても、「本当に叶うのだろうか」と不安を感じているに違いない。
著者の早霧せいなさんは宝塚歌劇団の元雪組トップスター。17年間の現役時代は「ちぎ」の愛称で親しまれ、2017年に退団後は舞台やテレビで活躍中だ。
「宝塚」との出会いは14歳の時。将来の夢が見つからず悩んでいた頃、偶然読んだ記事で宝塚のことを知った。即座に、男役としてステージに立つことを心に決めたという。ただ当時、ダンス、歌もまったく未経験。地方都市(長崎県佐世保市)に暮らす「普通の女の子」にとって、タカラジェンヌへの道のりは平たんではなかった。
最大の関門である宝塚音楽学校は競争率20倍以上という超難関。2度の不合格を経て、高校3年のラストチャンスで入学を果たした。
本書の冒頭にあるのが「24才になる私へ」という手紙。14歳の早霧さんが10年後の自分に書き残した。「…と(途)中であきらめているか、他の事をしているのなら、あなたはこのことを一生こうかいすると思いますよ」。並々ならぬ想いが言葉に込められている。
宝塚歌劇団では宙組に配属され、後に雪組に移った。組替えの戸惑い、苦手な歌、くすぶっていた2番手時代…。男役としては背が低いことへのコンプレックスも。トップへの階段を上り始めても、その裏側では迷い、つまずき、もがく連続だったという。
さまざまな困難や壁を乗り越えて宝塚の頂点に立った早霧さんが、夢の見つけ方やつかみ方、夢を叶えた今何を思っているのかをつづった。もちろん、深刻ぶっているわけでも、偉ぶって語っているわけではない。ちょっとしたヒントを軽妙な筆致で紡いでいる。
本書は版元の河出書房新社が企画・展開する「14歳の世渡り術」シリーズの一つとして書き下ろされた。ティーンエージャーが想定読者だが、ヅカファンの如何を問わず、多くの「大人」に手に取ってもらいたい一冊。(2019年8月発売)
文:M&A Online編集部
人気時事芸人のプチ鹿島さんが新聞のおもしろくてディープな読み方を伝授する一冊。インターネット全盛の中、旧態依然の象徴とされる新聞。そんな「オヤジジャーナル」の奥深い味わい方とは。