IOCがコロナ渦中でも東京五輪を「強行開催」したい3つの理由

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東京五輪の中止は日本政府や東京都よりもIOCの痛手が大きい(大会のメインスタジアムとなる新国立競技場)

1.政府・東京都への不信感

IOCがここに来て「たとえコロナ禍で緊急事態宣言が出されていても開催可能」とアピールしているのは、「オリンピック開催反対」の世論に押されて、政府や東京都が中止の決断をするのではないかとの懸念が増しているからだ。

3月4日に下村博文自民党政調会長がテレビ番組で「主力国の選手が大量に来られない場合はIOCも(中止を)考えざるを得ないだろう」と発言。4月15日には、またもテレビ番組で二階俊博自民党幹事長が「とても無理だということだったら、スパッとやめなければいけない。感染病を蔓延させたとなると、何のためのオリンピックか分からない」と発言し、政府は「火消し」に躍起となった。

IOCが単なる「失言」と見過ごせないのは、10月に任期満了を迎える衆院選を控えているから。政府与党としては東京五輪を成功させた勢いで選挙戦に臨む予定だったが、感染拡大が収まる気配はない。

5月17日に発表された朝日新聞の世論調査では東京五輪開催の是非について、「中止する」が43%、「再び延期する」が40%に上った。一方、「今年の夏に開催する」は前月の調査の28%から14%へ半減。予定通りの五輪開催は「民意に反する」ことになりかねない。共同通信が同16日に発表した世論調査でも「中止するべきだ」が、59.7%と過半数となった。

政府与党が警戒するのは、東京五輪開催を堅持する菅義偉内閣の支持率が下がっていることだ。万が一にも東京五輪開催中に新型コロナ感染が拡大して第4波同様の医療崩壊が生じた場合、五輪後の衆院選で与党が惨敗する可能性が高まる。

東京五輪開催でコロナ感染が拡大すれば、菅政権の「致命傷」になりかねない(首相官邸ホームページより)

ならば「国民の生命を守る」を大義名分に中止することで、「政府の英断」をアピールする方が選挙戦に有利ではないかとの見方が与党内に広がっているという。下村政調会長や二階幹事長の中止発言は、そのための「観測気球」と見られている。

東京都にしても、事情は同じ。7月4日に都議会議員選挙が控えているからだ。小池百合子都知事を支える都民ファーストの会(都民ファ)の勢力拡大のため、都が電撃的に「五輪中止」を打ち出すとの観測も根強い。

開催都市だけに、都民の間では国内外から多数の選手や関係者、ボランティアが集まることによるコロナ感染リスクの拡大や医療体制の逼迫、都民の行動制限といった懸念がある。衆院選と違って都議選は五輪前に終わるが、都民ファの議席確保のために「知事の英断」が飛び出す可能性も取り沙汰されているのだ。

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