乾汽船株22.9%を取得した「アルファレオホールディングス」の狙いは

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乾汽船が運航するバラ積み船(乾汽船のホームページより)

資産運用会社のアルファレオ(東京都千代田区)が保有する乾汽船<9308>の株式(共同保有者と合わせた保有割合は22.07%)全株を手放し、同時にアルファレオホールディングス合同会社(同)が乾汽船株式の22.9%を保有したことが分かった。

2019年2月15日に実施し、2月21日に大量保有報告書を提出した。アルファレオホールディングスの同報告書によると、株式取得資金約40億円7000万円はすべて借り入れで賄った。

乾汽船が経常赤字に転落

その乾汽船の2019年3月期決算は、経常赤字に転落する見通しだ。当初は18億9000万円の経常黒字の予想だったが、第1四半期に10億7300万円に、第2四半期に1億4300万円に黒字額が減少。さらに2019年2月14日に発表した第3四半期決算では2億9600万円の経常赤字に修正した。 

外航海運事業での市況が、米中貿易摩擦による市場心理の影響から軟調に推移しているのが赤字転落の理由という。同社は2015年3月期から2017年3月期まで、3期連続で経常赤字に陥ったあと、2018年3月期に黒字に転換したばかりで、1年で再び赤字に転落することになる。 

ただ横浜市が施工する山下ふ頭開発事業に伴う倉庫の立ち退きによる補償金15億3300万円を特別利益に計上するため、2019年3月期の当期純利益は9億9700万円の黒字を確保できる見込み。 

売上高についても倉庫・運送事業、不動産事業は予想通りに進んでいるため、当初予想の221億600万円から224億3300万円へと1.5%の増収となる。

配当については当初の年46円から第1四半期に年32円に、第2四半期に年16円に、さらに第3四半期に年12円に減額。当初のほぼ4分の1になる。

この発表の翌日に保有者がアルファレオからアルファレオホールディングスに代わった。保有目的には「純投資が基本であるが、状況に応じて経営陣への助言や重要提案行為等を行う」とある。 

乾汽船の株価は2018年11月から12月にかけて1000円を超えたが、現在は720円前後。購入価格の682円は上回っているが、大量に売却すれば株価は下落する。配当が減少し、株価も低い水準にある状況下で、全額借入金で手に入れた乾汽船の株式をどのようにするのか。アルファレオホールディングスの動きに注目が集まる。

文:M&A Online編集部

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