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元新聞記者に聞く「文章力がアップする」おすすめ本3選

※この記事は公開から1年以上経っています。
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3.「日本語最前線 赤ペン記者ノート」(毎日新聞社)

日本語最前線 赤ペン記者ノート
日本語の“作法”を身につける

「平明、達意を心がけるように」。会社(新聞社)に入って駆け出しの頃、配属先の支局長から、事あるごとに聞かされたのが冒頭のフレーズ。新聞記事に美文や名文は不要で、伝えたいことを分かりやすく表現するのが基本というわけだ。

ところが、いざ実践するとなると難しい。取材力が足りず、そもそも自分が理解していないのが根本的な原因だが、文章力においても日本語の使い方の“常識”が備わっていなかった。そんな時に出合ったのが『日本語最前線 赤ペン記者ノート』(毎日新聞社)。

30年以上も前のこと。今では想像できないが、当時は、パソコンもなく、原稿用紙のマス目を手書きで埋めていた(あー懐かしい)。

それでは本書から、少々引用してみたい。

「隣の家で下宿している山田さんと会った」

簡単な文章ながら、読みとり方はいろいろ。「隣の家を訪ね、そこに下宿している山田さんに会った」とも、「隣家に下宿している山田さんに(どこかで)会った」とも読める。さらに「隣の家を訪ねたところ、わが家に下宿している山田さんに会った」という解釈もできる。

「犯人は元陸上競技の選手で、足に覚えのAさんが500メートル追いかけて捕え…」

素直に読めば、犯人は元陸上競技の選手。ところが事実は、選手はAさんの方。「犯人は、元陸上競技の選手で足に覚えのAさんが…」と、読点の位置を変えれば、誤解されずに済む。

新聞原稿は時間を争って書く宿命があるため、出稿段階で変な言葉づかいや当て字、誤字がつきもの。本書をまとめたのは毎日新聞校閲部。紙面から誤植をなくすことはもちろん、正しい日本語で書かれた記事を読者に提供するのが赤ペン記者(校閲記者)の責務だ。

もっとも、パソコンで原稿を書くようになって、赤ペン記者という言葉もとんと聞かなくなった(死語に?)。

校閲記者の目
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「船は沿岸沿いに進んだ」「現場から約1キロ程の地点」「後で後悔するよ」などといった重複した使い方は話し言葉として日常茶飯事だが、いざ文章にすると筆がすべりがち。 こんな目からウロコ、のような話が満載している。文章云々を抜きにして、とにかく読み物としておもしろい。

『日本語最前線 赤ペン記者ノート』は絶版のため、興味のある方には、2017年9月に出版された最新の『校閲記者の目』(毎日新聞出版)を薦めたい。(K編集長)

◆  ◆  ◆

ちなみに本記事は、編集部の校正を経て公開されております。

文:M&A Online編集部

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