ハイブリッド型総合書店「honto(ホント)」で好評の「ブックツリー」は、本の専門家たちが私たちの“関心・興味”や“読んでなりたい気分”などに沿って、独自の切り口で自由におすすめの本を紹介する企画です。 そんな数あるブックツリーの中から、ビジネスパーソン向けのものを編集部が厳選! 教養や自己啓発、ビジネスの実践に役立つものをピックアップしてお届けします。
ブックキュレーター:内田和成
ひと昔前なら、同業他社と横並びで、考え行動すれば安泰でした。しかし、状況が激変し、横並びはリスクになる時代です。どんな手を打つべきか、自分の頭で考え、臨機応変に実行しないと生き抜けない、つまり「ユニークさ」が必要不可欠な時代になりました。この選書は「ユニークさ」を生み出す戦略思考を学べるものです。
仮説思考は作業を減らす武器になります。情報がなくとも、経験がなくても、まずはとりあえずの結論=仮説を考え、その後に情報集と検証することの大切さを述べています。まず情報を集めて、分析する網羅思考は、時間も手間もかかり、あまり効率的ではありません。
「戦わずして勝つ方法」が示しています。一見矛盾しているように思えますが、そもそも競争しないほうがよいと主張しています。「競争しない戦略」を3つに分類して、50社以上の事例をもとに、解説しています。
戦略の真髄に触れた一冊。著者の楠木先生は、戦略には、「思わず人に話したくなるような面白いストーリー」があると説いています。私自身もコンサルタントとして「わくわく」するような提案を心がけていましたから、とても通じるところがあります。
人間の創造力が誰にでも備わっていて、発揮できるかどうかは気持ちの持ち方や有り様から出てくることがわかります。素人の機織り娘たちが、仕事をしたい一心で自動機織機の使い方をマスターし、先輩たちを追い抜いてしまった話などは涙なしでは読めません。
巨額の制作費をかけるハリウッドの大作映画、スター選手を巨額の移籍金を払って次々と獲得しているレアル・マドリードの事例を紹介しながら、コンテンツビジネスの勝者がなぜ回収不能と思える予算を投じていくのかがわかる。ロングテール戦略との対比も面白い。
ブックキュレーター:内田和成
早稲田大学ビジネススクール教授。東京大学工学部卒業。慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て 1985年ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000年6月から2004年12月までBCG日本代表、2009年12月までシニア・アドバイザーを務める。ハイテク、情報通信サービス、自動車業界を中心に、戦略などの策定・実行を支援するプロジェクトを数多く経験。2006年には「世界で最も有力なコンサルタントのトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出された。2006年より早稲田大学大学院商学研究科教授。ビジネススクールで競争戦略やリーダーシップ論を教えるほか、エグゼクティブ・プログラムでの講義や企業のリーダーシップ・トレーニングも行う。
※本記事はhonto「ブックツリー」より転載