新聞やテレビなどの報道を通して「M&A」という言葉が世間に浸透してきた昨今、マンガの世界にもM&Aが進出するようになってきた。これはまさに、日本でも経営戦略の一手として、M&Aが広く知られるようになってきた証拠だろう。
とはいえ、「M&Aって難しそう」「M&Aは自分には関係ないこと」と思っている人はまだまだ多いはず。そんな人たちにぜひ読んでみてほしい、編集部おすすめのM&Aを題材にしたマンガを紹介する。
「いきなりガッツリお勉強はちょっと…」という人には、ストーリーの中にM&Aが登場するマンガがおすすめ。マンガとしても面白く、読み進めていくうちにM&Aの知識が自然と入ってくるので一石二鳥だ。
グローバルに展開する韓国企業ソムサンが日本の五洋電機に対して敵対的M&Aを企てていることを知った島耕作。五洋電機の高い技術力を流出させることは国益の流出と考えた島は、五洋電機を救うべく奔走する。
「三角合併」「TOB」「ホワイトナイト」「LBO」といったM&A関連の経済用語も解説付きでたくさん出てくるので、じっくり読むのがおすすめだ。
浜ちゃんこと浜崎伝助が勤める鈴建リースに米国の建設会社からM&Aの話が舞い込む。社長秘書として交渉の場に参戦することになった浜ちゃんの正直な物言いと、それに対する佐々木社長のやり取りがコミカルに描かれていて、思わず笑ってしまうはず。M&A交渉のセンシティブさ、具体的な交渉内容などを垣間見ることができるエピソードになっている。
詐欺師を食らう詐欺師「黒鷲」である黒崎は、ついに父親を陥れた詐欺師・御木本のしっぽをつかむ。サブプライムローンで負債を抱えた企業においしい合併の話を持ち込む御木本。その裏をかくべく、黒崎は用意周到に罠をしかけるが…。
M&Aという、企業にとって重大な局面を利用したスケールの大きな詐欺を描いた本作。ヘッドハンティング詐欺で有能な社員を追い出し、企業を弱らせてからM&A詐欺を働くあたり、詐欺師の巧妙さにゾッとする。次の展開が気になって一気読みしてしまうこと間違いなしだ。
学園で稼いだ金が、進級や卒業、その他あらゆることを決めるという私立・学円園学園が舞台。学園では部活動を行う「部」がいわゆる会社と同じという面白い設定になっている。主人公の市場クロガネは財閥の御曹司でありながら己の力で稼ぐことを目標に入学。しかし、ちょっとしたミスから多額の借金を負うことになり、人材派遣部を立ち上げる。
第3巻では部活動同士のM&Aを描いているが、財務諸表の見方などもエピソードの合間で紹介されており、全巻を通してお金について学びがあるマンガだ。
ストーリーの中でのM&Aは劇的な演出として扱われることが多く、あくまでフィクションの世界。M&Aについてもう少しちゃんと学びたいという学習意欲がある人には、マンガでM&Aを解説してくれるこちらをおすすめしたい。
M&Aとは何なのか、成立までの流れも含め全体像をマンガや図を交えて解説。ソフトバンクやライブドアなどの事例も紹介されているので、より具体的でわかりやすくなっている。2006年刊行と、敵対的M&Aが世間を騒がせた時期に出版されただけに、敵対的買収のターゲットになる企業の特徴や防衛策についてもふれられている。
中小企業の事業承継型M&Aの流れをマンガ仕立てで描いた一冊。
結婚を直前に控えた結城麗奈は、実家の酒蔵が廃業寸前という事態に直面し、恋人のすすめでM&Aを検討することに。M&Aの全体像やメリット、よくあるトラブルを踏まえたうえで、事業承継型M&Aの成功の秘訣を主人公と一緒に学びながら読み進められる。M&Aを結婚に例えていて、主人公の結婚と重ね合わせているのがわかりやすい。マンガだけでもM&Aの全体像はつかめるが、章の合間にあるコラムで企業評価の算出方法や買収監査などの詳細がしっかりと補足されているのでさらに理解が深まるはずだ。
文:M&A Online編集部
30年にわたって企業価値算定にかかわってきた著者は「バリュエーションは簡単な公式に美しく収斂する。それさえ理解すれば経営者や実務家として十分」と主張する。
海外M&Aが活発である。今回ご紹介するのは「海外大型M&A大失敗の内幕」だ。著者の有森隆氏は、M&Aに焦りは禁物と説く。