「日本買い 外資系M&Aの真実」|編集部おすすめの1冊

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 数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本も紹介する。 

加藤有治「日本買い 外資系M&Aの真実」 

 米投資銀行の「モルガン・スタンレー」、米電機メーカーの「GE」、欧州投資ファンドの「ペルミラ」に在籍した加藤有治氏が、「日本買い」の仕事に携わった約20年間の知識やノウハウをまとめた。

    冒頭に日本は海外からの投資が少なく、対内直接投資累積残高のGDP比を見ると、日本は英国の10分の1以下であり、フランス、ドイツ、米国と比べても数分の1という水準にある、とのデータを示し、今後中小企業が世界に乗り出すためには海外資本の受け入れが重要であると訴える。

 そのうえで、外資系ファンド、外資系事業会社が日本企業を買収する際に重視する点や、価値の見出し方などの違いを説明。さらに外資系企業による日本企業のM&Aの実例をあげ、外資による投資は資本だけでなく、人材や知識、海外市場開拓などのチャンスであると強調する。

 外資系といえば「ハゲタカ」のイメージが強いが、本書には、買収企業の経営にかかわり、企業価値を高めていくことに努力する外資系企業の姿も取り上げられており、ハゲタカばかりでないことが分かる。

 また、中国人経営者による外資活用の事例なども盛り込まれており、中国人のしたたかな経営手法に驚かされる。

 著者は「日本は資本の受け入れは鎖国同然の状態」と分析し、「海外の資金、人材、ノウハウを日本に持つ込むことが日本の成長に必須である」と言い切る。

 巻末コラムの「外国企業で活躍したいあなたへ」では、外国企業で働く際の生き残りのノウハウなども披している。

 外国企業の資金や経営資源を取り込みたい経営者や、外国企業にサービスを売り込みたい銀行員、さらには外国企業に就職したい学生らに役立つ内容となっている。 

【加藤有治】1966年島根県松江市生まれ。1988年京都大学理学部卒業。1990年京都大学経済学部卒業。同年郵政省(現総務省)入省。1998年米イェール大学経営大学院修了。1998年以降、外資系の銀行や電機メーカー、投資ファンドなどで対日企業投資に携わってきた。  

文:M&A Online編集部

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