「あなたの文章力、それで大丈夫ですか?」ーーいきなり上から目線で恐縮だが、筆者はM&A Online編集部に配属になるまで(そしてなっても)文章のトレーニングを正式に受けていない。だから「本当にこのままで良いのだろうか・・・」と若干の不安を抱えながら記事を書いているライターさんの気持ちがよくわかる。
そんな悩める初心者ライターに物書きのプロである元新聞記者がおすすめする本がコレだ!
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「愛想を振りまく」「合いの手を打つ」これは正しい言葉の使い方なのか。迷った時に手にするのが、共同通信社発行の『記者ハンドブック新聞用字用語集』(共同通信社)だ。
同ハンドブックを調べると「愛想を振りまく」は「愛嬌を振りまく」というのが正しい。愛想は人に対する態度を指し、愛嬌は笑顔などのかわいい表情を指す。態度は振りまけないが、笑顔は振りまけるため、振りまくのは愛嬌となる。
「合いの手を打つ」は「合いの手を入れる」とするとある。合いの手は相手の話の間に挟む言葉のため、合いの手は打つではなく入れるとなる。
こうした事例をはじめ使ってはならない言葉の言いかえ事例や、漢字は使わずひらがなたで表示する事例などが豊富に収容されている。
「レポート」なのか「リポート」なのか。「ワイヤ」なのか「ワイヤー」なのか。迷った時はこの本が回答を示してくれる。
新聞で使う用字や用語のため、必ずしも、これしかダメというものではないが、本書に従って用語を使っていれば安心感がある。(編集委員M)
書くことを生業としている身から見れば、巷にあふれる「文章力アップ本」はテクニックや修辞に走っているような気がしてならない。
書くことに慣れている人には参考になるかもしれないが、「文章が書けない」と悩んでいる人には何の役にも立たないのではないかと思う。水面に顔をつけるのさえ怖いという人に、「簡単!バタフライはこう泳げ」という本を勧めるようなものだ。
そんな「文章超初心者」におすすめしたいのが、『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(山田ズーニー・PHP新書)である。冒頭で著者は「書くことは考えることだ」と看破している。良い文章を書くには「自分の頭でものを考える方法」を身に着けるのが早道なのだ。
文章本にありがちな文例の暗記や応用などではなく、「考えるトレーニング」が必要だと説く。「考えるヒマがあったら手を動かせ」は、最悪の文章鍛錬法なのだ。これは仕事やスポーツでも同じだろう。
では、何を「考える」のか。文章はコミュニケーション手段の1つにすぎない。コミュニケーション手段である以上、考えなくてはいけないのは「読み手に伝わり、心を動かし、書き手の望む結果を出すためには何が必要なのか」-その1点である。
そのためには「1,論点(何について書くか)2,論拠(意見の理由)3,意見(結論)を押さえておけばよい」という。別に難しい話ではない。普段の会話で誰もがやっていることなのだ。(編集委員I)