すでに業績不振の長期化で過剰債務に陥った企業が増えており、息切れやあきらめによる脱落に加えて営業再開に向けた資金難による倒産が増えるというわけだ。政府主導の「中小企業活性化パッケージ」の関連施策も本格化する見通しだが、コロナが再流行する可能性も残っており、これ以上の営業継続と資金調達に二の足を踏む企業が増えているようだ。
さらに足もとの急激な物価高も大きな脅威だ。日本銀行が6月10日に発表した5月の企業物価指数は前年同月比で9.1%上昇した。石油・石炭などのエネルギー価格の上昇が顕著だが、あらゆる製品やサービスの価格が上昇している。コロナ禍が落ち着いて国内経済が平常化すれば、需給が逼迫(ひっぱく)して値上がりが進む。
仕入れ価格やエネルギーコストの増加は、コロナ禍からようやく立ち上がったばかりの業種にとっては「致命傷」になる。仮にコロナ感染が完全に収束したとしても、企業経営にとっては大きな不安材料だ。コロナと企業との戦いはまだまだ続く。
文:M&A Online編集部
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