衆院選は自民党ではなく「宏池会」の勝利、経済対策に期待広がる

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後退する安倍・麻生両元首相の発言力

それでも自身が小選挙区で落選した甘利明幹事長の後任に、安倍元首相に近い高市早苗政調会長や志公会(麻生派)の河野太郎広報本部長を推す声があったものの、岸田首相は平成研究会(旧竹下派)の茂木敏充外務大臣を充てる方針を固めた。玉突き人事となる重要閣僚の外相には、宏池会所属で「首相を目指す」と公言している林芳正元文部科学相の就任が有力視されている。

林氏と言えば、ほんの数カ月前までは志帥会が党公認候補として推していた河村建夫元官房長官と同じ衆院山口3区で無所属での立候補も辞さない構えで二階前幹事長を激怒させた。しかし、菅義偉前首相による事実上の更迭で二階幹事長の影響力が急速に低下。林氏が党の公認を勝ち取って、参議院からの鞍(くら)替え当選を果たした。

話はそれだけでは済まない。6月に総務省が国勢調査の結果から試算した小選挙区の割り振りによると、山口県は現在の4区から3区へ減少する。山口県では3区と4区の合区もありうる。そうなると3区で当選を果たした林氏と4区を地盤とする安倍前首相が、党の公認を巡って争うことになる。

山口4区は下関市と長門市。かつて安倍家は長門市、林家は下関市を地盤としていた。人口は下関市が県下最大の25万6000人なのに対して、長門市はわずか3万2000人。地元では3区と4区が合区された場合は、東京大学進学まで下関市で育ち、地縁もある林氏が有利との見方が根強い。

さらに安倍元首相は首相に2度も就任した「過去の人」なのに対し、林氏は年齢も若く首相を目指す「次世代の人」だけに勢いもある。

安倍前首相はそうした選挙区事情もあり、林氏を牽制するために高市政調会長を幹事長にコンバートさせるべく甘利幹事長の辞意表明直後から働きかけたようだが、岸田首相が受け入れなかったと見られる。一方、麻生太郎副総裁は林氏と同じく首相を目指している河野太郎広報本部長の幹事長就任に動いたようだが、これも叶わなかったようだ。

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