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調整局面でTOBが仕掛けられる可能性は?「すでに落ち切ったナイフ」に注目

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2017年第4四半期(10-12月)のTOBプレミアムの動向

 2017年第4四半期のTOB全19件のTOBプレミアムの平均は25.01%、マイナスのプレミアム4件を除いた15件の平均は34.17%でした。マイナスのプレミアムを除いた平均は前年同期は33.74%、直前四半期は4.92%でしたので、上昇しています。

 上昇の要因としては、対直前四半期では、直前四半期において株価の高値警戒感と国会の空転が続き、経済政策の停滞懸念と景気見通しへの不透明感、株価全体に対する割高感・高値不安感が強まり、TOB取引自体がかなり低調であったのに対して、2017年第4四半期は、衆議院選挙を経て政局に安心感が生じたこと、高値警戒感を超えて日経平均株価が連騰記録を更新するなど株式市場が活性化したことにより、TOB件数・プレミアムともに活性化したことによると考えられます。対前年同期では、直前四半期のようなマイナス要因がない状況でおおむね同様な環境となり、ほぼ同水準に回復したものと考えられます。

引き続き、親子上場会社の子会社に注目

 引き続き、グループ再編型のTOBは一定の取引量を維持するものと考えられます。親子上場会社の子会社に注目です。

 一方、2月以降米国金利上昇に端を発する円高株安傾向がみられることから、特に円高による実体経済へのダメージが懸念され、TOBの低調化をもたらす可能性があると考えられます。そのような局面では、事業会社による積極的な事業拡張を目的としたTOBは低調となる可能性が高いものの、新規上場から数年経過し、株価が6か月以上低迷しているような企業のMBOやバイアウトなどは活性化する可能性があります。

 当該局面では、MBO/バイアウトのケースで上場初期からの長期ホルダーには損失ながら、購入後3か月以内の短期ホルダーには十分なプレミアムが付与されるケースが多いと考えられます。

文:巽 震二(フリーランス・マーケットアナリスト)

巽 震二 (たつみ・しんじ)

フリーランスマーケットアナリスト。
証券アナリストとして大手証券会社調査部勤務後、専業個人投資家に転身。
アベノミクスの波に乗って2015年、目標資産残高を達成し、トレーディングもめでたく卒業。 現在はフリーランスマーケットアナリストとして活動中。本連載はペンネームで寄稿している。


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