つまり、この有償ストックオプションは割当者にとって、下記の意味があることとなります。
・ストックオプションの割当時に6円/株の払込が必要
・払込を行うと、株式会社エス・エム・エスの株式を2,380円/株で取得可能になる(2,380円/株は割当日前日の終値)
・よって、将来株価が上がった時(例えば4000円/株になった時)に行使・譲渡すれば、1,620円/株(4,000円/株 - 2,380円/株)の譲渡益が得られる(譲渡益には20.315%の所得税しか課税されない)
・ただし、ノックアウト条項に抵触した場合、ストックオプションを行使できるとは限らない。
有償ストックオプションには上記のようにノックアウト条項が付されることが通常であり、将来における行使の確実性が担保されないため低い価額(6円/株)で発行可能となります。(有償ストックオプションの発行自体はあくまでストックオプションの公正価値発行のため、取締役会決議による発行が可能)
なお、株式会社エス・エム・エスの直近期(2016年3月期)のEBITDAの額は3,740百万円程度です。
今回発行の新株予約権を行使するためには、少なくともEBITDAの額が4,977百万円を超える必要があるため、ノックアウト条項としては厳しく、また、それゆえに6円/株という極めて低い価格での発行が可能となります。
文:株式会社Stand by Cホームページ 事例研究(2016.07)より転載