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追い詰められたビッグモーター、打開策は「事業譲渡」しかない

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ぐずぐずしていると譲渡価額は「二束三文」に

企業の譲渡価格を算定するには、主に三つの方式がある。

1.純資産や過去3年間の営業利益の平均値から3~5年分に相当する営業権(のれん代)などを参考にする「コストアプローチ」
2.利益やEBITDA、純資産といった財務指標から算出された倍率で計算する類似会社比較法(マルチプル法)などによる「マーケットアプローチ」
3.フリーキャッシュフローを割引率により現在の価格に割り戻し、事業価値を求めるDCF法などによる「インカムアプローチ」

しかし、ビッグモーターは最近の決算データについては売上高や純利益しか明らかになっておらず、純資産や減価償却費、フリーキャッシュフローなどの数値が必要な譲渡価額の算定は難しい。

業種は全く異なるが、同じオーナー経営の非公開企業では化粧品・健康食品大手のディーエイチシー(DHC)が、オリックス<8591>に約3000億円で買収されている。DHCの2022年7月期の純利益は96億1500万円だった。ビッグモーターの2022年9月期純利益184億円で比較すれば、譲渡価額は約5740億円となる。

だが、同社は不祥事で揺れ、業績も急降下している。信用も失墜しており、一過性の不振で済むのか不透明だ。当然、買収価額は下落する。業績悪化が続いて経営危機状態になれば、二束三文で買い叩かれるのは避けられない。兼重前社長にとっては、自社を売り抜けるタイムリミットが目前に迫っている。

文:M&A Online

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