改正公益通報者保護法と内部通報規程の改訂

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ビズサプリの久保です。今回は、改正された公益通報者保護法についてお話ししたいと思います。

不正発見経路のナンバーワンが内部からの通報です。内部通報制度は、社内不正早期発見に欠かせない重要な仕組みです。内部通報規程改訂に当たっての留意点も解説したいと思います。

改正前の公益通報者保護法

公益通報者保護法は、2006年から施行されている法律で、一定の要件を充たす「公益通報」を行った従業員等に対する解雇などの不利益取扱いを禁止する法律です。その名称のとおり、公益通報者を保護する法律です。一方、企業から見たら、内部通報制度は、不正やその火種を早期発見して対処するという、自浄作用を発揮する仕組みです。

改正前の公益通報者保護法では、従業員等が会社に対して内部通報後20日以内に調査を行う旨を通報者に通知しない場合、一定の条件がありますが、行政機関やマスコミなどの外部に告発した場合にも、企業が通報者に対する不利益な取り扱いを行ってはいけないとされていました。

そのために、企業は内部通報窓口を設置し、通報内容の調査等を行う体制の整備が必要となっていました。改正前の公益通報者保護法は、企業の体制整備を促す効果を持っていましたが、体制整備を求める法律ではありませんでした。

改正公益通報者保護法

改正公益通報者保護法(以下「改正法」)は、常時雇用する労働者(以下「常勤社員等」)300人超の事業者に対して、(1)内部通報の体制の整備と(2)公益通報対応業務従事者の指定を義務付けました。これに加えて、(2)の従事者に対して(3)法的な守秘義務が課され、その違反には刑事罰(30万円以下の罰金)が定められました。

常勤社員等が300人以下の会社では、(1)(2)が努力義務です。ただし、(2)の従事者を指定した場合、その指定された従事者は法律上の守秘義務を負うことになり、(3)の罰則の対象となります。

改正法違反があった場合には、消費者庁長官におる行政措置(助言指導、勧告)の対象となります。事業者が勧告に従わない場合には会社名等が公表されます。努力義務の会社は、公表の対象にはなりませんが、助言指導、勧告は行われます。

久保 惠一

学歴:1976年 大阪大学経済学部卒業

職歴:大学在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツに入社。カナダバンクーバーの提携先会計事務所で実務経験。大手メーカーや銀行などの会計監査と株式上場支援を経験。監査法人内でリスクコンサルティング事業を立ち上げ、15名から450名の組織に拡大した。 監査法人トーマツのボードメンバー、デロイトトーマツリスクサービス株式会社代表取締役社長、トーマツ企業リスク研究所所長、情報テクノロジー本部長を歴任。石油公団資産評価・整理検討小委員会、東京電力点検記録等不正の調査過程に関する評価委員会、総合資源エネルギー調査会石油部会、原子力施設安全情報申告調査委員会などの政府委員会に参加。大手信販会社総会屋利益供与事件、信用情報機関の個人情報漏洩事件、東京2020オリンピック・パラリンピック招致に関わる海外支払の調査に関与。 元中央大学大学院客員教授

資格:•公認会計士•カナダ(ブリティッシュコロンビア州)勅許会計士

主な著書:•『東芝事件総決算』(単著、日本経済新聞社)•『水リスク−大不足時代を勝ち抜く企業戦略』(編著、日本経済新聞出版社)•『リスクインテリジェンス・カンパニー』(編著、日本経済新聞社)•『内部統制報告実務詳解』(編著、商事法務)


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