今夏は『トップガン マーヴェリック』の大ヒット*が話題となりましたが、8月6日公開の『ONE PIECE FILM RED』も負けていません。東映史上最高の公開週末オープニング興行収入を記録し、その後も公開4週連続でランキング1位を維持、公開20日間で早くも興行収入100億円を突破*しました。フランスでも8月10日に公開となり、初日動員人数は歴代の日本アニメ映画で第1位(26.7万人)を達成したそうです。
*8月29日時点の累計興行収入(速報値)は『トップガン マーヴェリック』が118億円、『ONE PIECE FILM RED』が114.5億円。いずれも興行通信社調べ
東映は昨年、東宝・カラーと共同配給した『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が興行収入100億円を突破しましたが、『ONE PIECE FILM RED』は東映単独配給作品としては初の興行収入100億円作品となりました。
9月公開映画もこの勢いを消したくないところですね。それでは9月のおすすめ5作品を紹介します。
伊坂幸太郎のベストセラー小説『マリアビートル』をブラッド・ピット主演でハリウッドが映画化したアクション話題作。
どこかで見たことがあるようでない不思議なニッポンを走るブレット・トレイン(弾丸列車、狭義では日本の新幹線を指す)を舞台に殺し屋たちの壮大な駆け引きが繰り広げられます。
監督が『デッドプール2』や『ジョン・ウィック』シリーズを手掛けたデビッド・リーチということでR15指定のバリバリのアクションが展開されます。日本からは真田広之がメインキャストで参加しています。ブラッド・ピットもキャンペーンで来日しました。
今回のハリウッド映画化には、伊坂幸太郎のエージェントが作品をハリウッド映画関係者に繋いでくれた(売り込んだ)ことから実現したそうです。これを機に日本の作品が続々とハリウッド映画に起用されるようになるかもしれませんね。
映画『ブレット・トレイン』 9月1日(木)全国の映画館で公開 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ (bullettrain-movie.jp)
『関ケ原』、『燃えよ剣』に続いて岡田准一と原田眞人監督がタッグを組んだクライムサスペンス。原作は深町秋生の「ヘルドッグス 地獄の犬たち」。復讐のために闇落ちしていた元警察官が関東最大のヤクザに潜入します。
坂口健太郎ほか、松岡茉優、北村一輝、大竹しのぶ、MIYAVIと個性的な共演陣がバラエティ豊かなアクションに加え、深みのある演技(腹の探り合い)も展開します。
日本映画らしくない振り切ったバイオレンスアクションが繰り広げられ、よくPG-12指定で収まったなと思わせる作品に仕上がりました。
映画『ヘルドッグス』公式サイト 9/16(金)全国の映画館で公開 (helldogs.jp)
15年前に連続ドラマとして始まった東野圭吾原作&福山雅治主演のミステリードラマシリーズ「ガリレオ」の9年ぶり3作目の劇場版。ガリレオこと湯川学は、草薙と内海が新たに関わることになった事件と、研究のために訪れた町の人々との間に浅からぬ因縁が、あることを知り事件に関わっていきます。
ドラマシリーズ1stシーズンや劇場版1作目『容疑者Xの献身』でバディとなった柴咲コウ演じる内海薫が復帰。湯川を演じる福山雅治、北村一輝演じる草薙俊平と初期メンバーの三人が久しぶりに揃いました。
主題歌も福山雅治と柴咲コウのスペシャルユニットKOH+の新曲「ヒトツボシ」が起用されています。
映画『沈黙のパレード』公式サイト (galileo-movie3.jp)
インドの最高学府であるインド工科大学(IIT)の全員合格を目指す無料予備校、”スーパー30”に情熱を費やしたアーナンド・クマールの実話を基に描いたヒューマンドラマ。
IT大国や数学大国と呼ばれることも多くなったインドの教育事情を知ることができる作品です。貧困による教育格差については日本人も他人事とは言えないところもあるので、共感できる部分も多いのではないでしょうか。
上映時間が2時間半と少々長めの作品ですが、一見の価値がある作品です。
映画『スーパー30 アーナンド先生の教室』オフィシャルサイト 2022年9/23公開 (spaceboxjapan.jp)
ゴールデングローブ賞やエミー賞に輝き、世界的に大ヒットした英国のテレビドラマシリーズ「ダウントン・アビー」の劇場版第2弾。ダウントンの屋敷と南仏の別荘を舞台にふたつの出来事が交差します。恋とユーモアは健在で”ダウントニアン”も満足することでしょう。
海外ではドラマと映画のすみ分けが明確なので、どれだけドラマとして成功を収めても映画に転じるというのはあまり例がないのですが、本作は劇場版1作目の成功を受けての公開となります。
似たような展開の以前の例としては「スタートレック」か「X-ファイル」くらいしかパッと浮かばないので、『ダウントン・アビー』の成功は珍しい例だと思います。
映画『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』公式サイト (downton-abbey-movie.jp)
9月はこれらの作品に加え、ヒット作を多く手掛けたプロデューサー・川村元気の初長編監督作品『百花』や人気アクションシリーズ最新作『HiGH&LOW THE WORST X』、西島秀俊×斎藤工の新作クライムサスペンス『グッバイ・クルエル・ワールド』、「リング」シリーズの中田秀夫監督の新作ホラー『“それ”がいる森』などの公開が控えています。全体的に邦画が厚めの並びになっていますね。
文:村松健太郎(映画文筆屋)/編集:M&A Online編集部