三ツ矢サイダー 140年目の「初めてのKiss」|産業遺産のM&A

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ホームセンターコーナン川西平野店の奥に佇む「三ツ矢サイダー発祥の地」

『カルピス』の向こうを張るキャッチコピー

川西市の文化遺産第1号として認定された源泉地室

実は『三ツ矢サイダー』の製造元であるアサヒ飲料では、姉妹品として『三ツ矢レモラ』という商品を1960年代の後半に発売している。レモン味で大人の風味を打ち出した。同社の『カルピス』が「初恋の味」を謳ったのは1922年のこと。その45年後に『三ツ矢レモラ』は「初めてのkiss」と謳った。1967年の広告を見ると「はじめてのKissみたい!」というキャッチコピーが踊っているが、「おっ!」というか「きゅん!」というか、目を引く存在だった(上掲、アサヒ飲料「三ツ矢の歴史」を参照)。

そして1968年に『三ツ矢サイダー』という商品名になり、戦後の清涼飲料水のなかで確固たる地位を築いた。『三ツ矢サイダー』は1970年代〜1980年代、ビール業界にあってアサヒビールが低迷した時期に、その屋台骨を支えたともいわれる。

最近では2016年に透明果汁炭酸という新しいコンセプトを打ち出し、『三ツ矢 澄みきるグレープサイダー』、『三ツ矢 澄みきるオレンジサイダー』を発売。ちなみに、三ツ矢ブランドとしては1981年に『三ツ矢コーヒー』も発売している。

ホームセンターの陰に隠れて…

三ツ矢サイダー発祥の地は、冒頭の写真のようにそこが発祥の地であることは広告塔のように表示されている。だが今は、その施設は堅く門扉が閉ざされている。川西市内を走る能勢電鉄「平野」駅の近く、コーナンというホームセンター(コーナン川西平野店)の奥にある。

ひっそりと佇む歴史的建造物だが、2019年3月に、同地に残る旧三ツ矢記念館(現在は開館)と川を隔てた谷筋にある源泉地室が地元川西市の文化遺産第1号として認定された。

建造物の名称としては、旧三ツ矢記念館が旧帝国鉱泉株式会社御料品製造所であり、源泉地室が旧帝国鉱泉株式会社源泉地施設である。アサヒ飲料はかつての御料品製造所を三ツ矢記念館として活用していたが2000年代に閉館し、そこが川西市の文化遺産第1号と認定されたことになる。

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