スタートアップへの出資を加速「三井不動産」脱炭素関連でCVCを積極活用

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三井不動産<8801>が、脱炭素関連のスタートアップへの出資を加速させている。

同社は2024年4月11日に京都大学発のフュージョンエネルギー(核融合)分野のスタートアップである京都フュージョニアリング(東京都千代田区)に出資したほか、脱炭素分野に強みを持つベンチャーキャピタルが組成する米、英、日の三つのファンドにLP(有限責任組合員)出資した。

2021年11月に策定した「脱炭素社会の実現に向けたグループ行動計画」に沿ったもので、総額435億円のCVCファンドを運用している社内組織である「31VENTURES」が実施した。

同社では今後も「スタートアップの発掘と共創を推進する」としており、CVCによる出資案件はまだまだ増えそうだ。

フュージョンエネルギーの産業化に注力

京都フュージョニアリングには、三井不動産とグローバル・ブレイン(東京都渋谷区)が共同で運営するスタートアップ投資事業「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI」を通じて出資した。

京都フュージョニアリングは、フュージョンエネルギープラントに必要な機器やシステムの研究開発を手がけている企業で、プラズマ加熱装置や高性能熱交換器など核融合に関する世界有数の技術力を有している。

フュージョンエネルギーは、発電過程で二酸化炭素を排出せず、また、核分裂を利用する原子力発電と比べると、炉心溶融のリスクがなく、放射性廃棄物が少ないなどの特徴を持つという。

海外では民間投資が増加しており、日本でも「J-Fusion」が2024年3月に設立されるなど、フュージョンエネルギーの産業化に向けた動きが活発化している。

31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースIでは「京都フュージョニアリングの核融合に関する高い専門性や技術力、優秀な経営陣、クリーンエネルギーの市場ポテンシャルやインパクトを評価して出資を決めた」としており、三井不動産では京都フュージョニアリングへの出資と「J-Fusion」への参画を通じて、脱炭素社会の実現を目指すとしている。

脱炭素特化型のファンドに出資

一方、LP出資したファンドは、マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏が気候変動問題を解決するために設立した米国の「Breakthrough Energy」、元米国副大統領のアル・ゴア氏が会長を務める企業が設立した英国の「Just Climate」、脱炭素領域特化型のベンチャーキャピタルである日本の「ONE Innovators」の三つ。

「31VENTURES」は、2024年3月までに約60社のスタートアップと40を超えるファンドにLP出資を行っている。

このうち脱炭素特化型のファンドについては、2022年にスイス、米国と英国、米国の三つのファンドに出資しており、今回はこれに次ぐもので、脱炭素特化型のファンドの数は六つになった。

三井不動産では、今回の出資により2050 年の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするグループ行動計画を加速するとしている。

文:M&A Online

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