ベンチャーエンタープライズセンター(東京都千代田区、VEC)がまとめた2019年第1四半期(1~3月)のベンチャーキャピタル(VC)による国内向け投資額は前年同期比23.7%増の486億円となり、13年の四半期調査開始以来の最高値を記録した。ただ、官民出資投資ファンドの産業革新機構による180億円の大口出資案件が含まれ、これが全体を押し上げた。

件数は減少、ベンチャー投資に慎重姿勢か?

一方、投資件数は328件で、前年同期を9.6%、前期(18年10~12月)を4.1%それぞれ下回った。景気後退懸念を背景にベンチャー投資に慎重姿勢が広がってきた可能性もある。

VECは四半期ごとに国内VCによる投資動向調査を集計している。今回の19年1~3月調査には107社が回答した。

投資額486億円のうち、単独で4割近くを占めたのが産業革新機構によるダイナミックマップ基盤(東京都港区)への出資180億円(上限)。ダイナミックマップ基盤は自動運転を実現するうえで重要となるデジタル地図の開発を進めている2016年創業のベンチャー企業。同分野の米国企業の買収費用、北米での事業展開に向けた成長資金に充てる。

1~3月の国内投資を業種別にみると、「コンピューター及び関連機器、ITサービス」が56.5%とトップだが、産業革新機構の大口出資分を除くと逆に大幅な減少となった。「バイオ・製薬」12.3%、「メディア、娯楽、小売、消費財」7.9%、「工業、エネルギー、その他産業」6.1%が続いた。

「アーリー」のシェアが50%超える

スタートアップ企業の成長段階に応じたステージ別の投資動向(産業革新機構は除く)は「アーリー」50.1%(前年同期41.7%)、「シード」22.2%(同20.5%)、「エクスパンション」20.0%(同24.2%)、「レーター」7.7%(同13.6%)。

設立後、経営が軌道に乗り始める段階の「アーリー」のシェアが半分に達する一方、事業の本格展開から拡張段階にあたる「エクスパンション」、IPO株式公開)などイグジット(投下資金回収)を検討段階の「レーター」がそれぞれシェアを落とした。

「アーリー」と事業の計画・準備段階にあたる「シード」の合算比率は72.3%となり、前年同期より10.1ポイント上昇した。

1~3月に新規に組成されたファンドは14本、905億円(前年同期比1本、222億円増)で、金額については13年の四半期調査開始以来の最高となった。

◎四半期別:国内投資の推移(VECまとめ)

金額件数
<2018年>
1~3月392億円363件
4~6月321億円297件
7~9月284億円293件
10~12月369億円342件
<2019年>
1~3月486億円328件

文:М&A online編集部