ベンチャーエンタープライズセンター(VEC、東京)がまとめた2019年第3四半期(7~9月)のベンチャーキャピタル(VC)による国内向け投資額は前年同期比103%増(2倍強)の585億8000万円で、現行方式で四半期動向調査を開始した2013年以降の最高額となった。

今年上期(1~6月)は半期ベースで初めて1000億円を突破したが、下期に入り、IPO(新規株式公開)などに伴う高リターンを期待して成長資金の供給がさらに勢いづいた格好だ。

前期比で投資件数は減少、大型案件が影響

VECは四半期ごとに国内のVC(事業会社によるコーポレートベンチャーキャピタルを含む)による投資動向調査を集計している。今回の第3四半期調査には107社が回答した。

第3四半期の国内投資額585億8000万円を前期(7~9月)と比べると、10.6%増えた。このうちINCJ(旧産業革新機構)分は40億円弱にとどまった。一方、投資件数は343件で、前年同期比で50件増えたものの、前期比では58件減っていることから、「コンピューター及び関連機器、ITサービス」で大型投資案件の存在がうかがわれるとしている。

第3四半期の国内投資を業種別にみると、「コンピューター及び関連機器、ITサービス」が69.2%とトップで、前期の48.5%からシェアを大幅に上げた。これに「バイオ、製薬」8%、「メディア、娯楽、小売り、消費財」5.7%が続く。前期に12.7%を占めた「工業、エネルギー、その他産業」は2.9%に低下した。

「アーリー」がシェア50%超を維持、「レーター」も伸ばす

第3四半期の国内ベンチャー投資のステージ別動向(金額ベース)をみると、「シード」10.7%、「アーリー」55.4%、「エクスパンション」17.3%、「レーター」16.6%。設立後、経営が軌道に乗り始める段階にあたる「アーリー」は前期とほぼ横ばいだったが、前年同期比では大きく20ポイント近くシェアを拡大した。IPOなどが視野に入れる段階の「レーター」も前期6.4%、前年同期9.6%に比べて伸長が目立った。

「シード」は事業の計画・準備段階、「エクスパンション」は事業の本格展開から拡張段階にあるベンチャー企業を指す。

第3四半期のステージ別投資動向(国内、除くINCJ) 回答のあった102社集計(ゼロ回答を含む)

ステージ金額(億円)件数
シード29.459
アーリー152.3162
エクスパンション47.548
レーター45.726
合計275295

第3四半期に新規に組成されたファンドは11本、361億4000万円。前年同期比で4本、213億5000万円それぞれ減った。追加出資額は340億5000万円で、前年同期を45億円ほど上回った。

文:M&A Online編集部