ベンチャーエンタープライズセンター(VEC、東京都千代田区)がまとめた2018年度(2018年4月~19年3月)の国内ベンチャーキャピタル(VC)による投資金額(速報)は2706億円と前年度を36.9%上回り、2006年度(2790億円)以来12年ぶりの高水準となった。大手VCの一部が海外向け投資を積極化したのが主因。投資件数は1660件で、同5.1%増えた。

ピーク時の水準に迫る

国内VCの投資金額は2000年度の2825億円が過去最高。その翌年から2000億円台を割り込んだ後、05年度に2345億円、06年度に2790億円を記録したが、リーマンショックの影響で09年度は875億円まで落ち込んだ。これを大底として、ピーク時の水準(2800億円前後)に回復するまで10年を要した形だ。

もっとも国際比較すると、米国の14兆円台、欧州1兆円台、中国3兆5000億円台(いずれも2018年暦年ベース)に対し、その差は歴然としている。

2018年度投資金額の内訳をみると、国内向けが前年度比20.4%増の1640億円、海外向けは同73.5%増の1066億円。国内向けは6年連続、海外向けは5年連続で増加した。

国内向けには官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)がダイナミックマップ基盤(東京都港区)に180億円出資する大型案件が含まれ、これを除くと1314億円で前年度比8.9%の増加にとどまる。ダイナミックマップ基盤は自動運転を実現するうえで重要となるデジタル地図の開発を手がけるベンチャー企業。

一方、海外はINCJ分を除いても998億円と同62.5%増の高い伸びを示している。ただ、海外向けは一部の大手VCに限られるため、特定数社の投資動向に左右される傾向がある。

シードへの投資が増加

18年度に新規に組成されたファンド金額は2214億円(48本)で、17年度の1953億円(47本)を13.4%上回った。

国内投資の業種別構成(金額ベース)はIT関連53.6%、バイオ/医療/ヘルスケア18.9%、製品・サービス16.6%、工業・エネルギー・その他産業10.8%。

投資対象ベンチャー企業の成長段階に応じたステージ別の国内投資(金額ベース、INCJは除く)は以下のとおり。「アーリー」45.3%(前年度46.7%)、「シード」20.5%(同14.7%)、「エクスパンション」24.9%(同27.9%)、「レーター」9.2%(同10.6%)。事業の計画・準備段階にあるシードが5.8ポイント増加したのが目立つ。

アーリーは設立後、経営が軌道に乗り始める段階、エクスパンションは事業の本格展開から拡張段階、レーターはM&Aや株式公開を検討段階のVBをいう。

今回発表した2018年度の速報値は8月8日までに回答があったVC112社のデータを集計。11月に公表する確定値はこれ以降に到着したデータを組み込むため、速報値から若干増加する可能性がある。

◎投資金額の推移(VEC調査、単位:億円)

年度投資金額うち国内向け
201827061640
201719761362
201615291092
20151302874
20141171740
20131818718
20121026495
20111240505
20101132
2009875

※2010年度までは国内外合算の金額のみ表示

文:M&A Online編集部