衆院選はコロナの「予想外の収束」と「第6波懸念」で早まるかも

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「第6波」と衆院選が重なるのが自民党最大のリスク

釜萢(かまやち)敏日本医師会常任理事が新規感染者がなぜ激減したのか「解析したいが、分からないことだらけだ」と語るように、「第5波」が収束した理由は分かっていない。感染拡大を食い止めるメカニズムが分からない以上、「第6波」の到来も十分に予想される。

菅首相が推進したワクチン接種が国内の新規感染拡大を食い止めているのは事実だが、日本よりも接種率が高い欧米諸国でも感染が再拡大した。「ワクチンがあるから、もう安心」というわけではない。

自民党が懸念するのは、衆院選を11月末近くまで引き伸ばした場合、「第6波」と時期が重なる懸念があることだ。コロナ禍が「谷」のうちに衆院選を終えてしまう方が、与党にとっては有利になる。現時点では11月7日投開票が本命視されている。これは自民党が8月に検討していた11月28日よりも3週間も早い。

さらに「第6波」と投開票が重なるリスクを最小限に抑え込むため、主要国首脳会議(G20)に重なる10月31日に前倒しされる可能性もある。

こうした状況の変化に、立憲民主党をはじめとする野党も主張を変えつつある。当初は総選挙の先延ばしを牽制(けんせい)して「任期を超えた衆院選は憲法違反」と批判してきた。しかし、最近では与党の早期解散・総選挙を警戒して、臨時国会では予算委員会などで十分な審議時間を確保するよう要求している。

選挙対策として経済活動を急ピッチで回復させるため、政府がコロナ関連規制を一気に緩和するかもしれない。そうなれば自民党の支持率は持ち直し、「惨敗は必至」といわれていた衆院選で健闘する目も出てくる。ただ、こうした緩和がコロナ「第6波」の引き金になる可能性もゼロではない。

選挙対策として「Go Toトラベル」など景気刺激策の復活もありそう(Go Toトラベルホームページより)

自民党が衆院選で勝利した後ならば、「第6波」が到来しても首相が解散権を行使するか内閣不信任決議案が可決されない限り、4年間は政権を維持できる。ただ、それと引き換えに日本のコロナ禍はさらに長引き、深刻な状況に陥りかねないリスクをはらむ。

文:M&A Online編集部

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