次に重要なことはサーチャーとなる個人が自身の目標意識を明確に持つことです。今まで多くの中小企業、大企業の社長からお話を伺いましたが、共通して有していると感じる重要な要素は自身のミッションを明確に設定しており、ミッション達成に対する執着心を持っていることです。
一般的に社員と社長を比較した際、社員は会社の意義について社長から教わるのに対し、社長は常に会社の存在意義を考え、社員一人一人の業務が社会的にどのような意味合いを持つのかを社員に伝達する存在であることが挙げられます。一見単純作業であるような業務も会社が回り社会意義を生み出すために必要な業務であれば、社長はその価値を理解し、社員に誇りとやりがいを感じてもらえるように取り計らうことが重要な役割の一つだと言えます。
M&Aが行われた企業に初めて社長としてあなたが就任したと想像してください。1日目に社員を前にして、「なぜ今回社長になられたのですか?どうしてここ(この会社に)来られたのですか?」と聞かれたらどのように答え、社員に何を伝えますか?
「会社は人」であるという事が良く言われますが、最も理想的な組織は社員一人一人が自身の業務のやりがいを持ち、職場に誇りを持っている状態であると考えます。こうした組織ができた時、組織はその人数以上のパフォーマンスを発揮します。
こうした組織を作るためにもサーチャーになることを志した時から何故自分は社長になるのか、その企業において社長として何を達成したいのか、社内外に共有する確固たる目標を創ることが重要です。
最後の重要な点は幅広い経営者コミュニティーを構築しておくことです。
以前弊社が投資をした保育園案件でサーチャーの心が折れてしまった例がありました。その方はMBA取得者で優秀でしたが、承継が行われた直後に新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが起こり、保育園が休園になるなど、予期せぬ困難に見舞われました。そして、経営難について共有できる仲間がいなかったことから、一人で抱え込んでしまい最終的には経営ができなくなるほど追い込まれてしまいました。
会社経営をするうえでは予想外の問題は必ず発生します。そして経営者は孤独になりがちです。こうした時に近くに同じ苦労を共有し、時には助言しあえる仲間がいることはとても重要です。
私自身、前職は外資系の大手企業にいたため中小企業の経営者の知り合いはほとんどいませんでした。そこで大学のOB会コミュニティーに参加するなど積極的に様々な経営者のとの接点を設けました。こうした経営者コミュニティーでは互いの会社で抱える課題を共有し、プロジェクトについて意見をもらったり、協力し合える知り合いを紹介しあったりする機会も多くあります。
実例を挙げますと、過去にご一緒したサーチャーは、投資実行をした際に従業員の就業規則等について知識が欲しいと感じたり、他業界での営業方法等を参考にしたいと考えた際に、このような個人のネットワークを活用されていました。
前述のように、特に中小企業を経営する中では幅広い知見が求められることが多くあります。幅広く全ての知識を有することは難しいですが、社外のコミュニティーに所属することで、様々なノウハウや知見を得ることができたり、サポートしていただける状況を作ることができ、結果として自身の経営がより良いものになります。
実際に、Growthixグループにおいても、サーチャーが集まるコミュニティー「ネクストプレナー大学」を運営しておりますが、これに限らず、世の中にある様々なコミュニティーに足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
サーチャーとして自身が承継する企業を探す際には、もちろん自身がモチベーションを感じる業界や「好き」が原動力になる業界を見ることも必要ですが、自分の強みを理解し、これが活きる場所に身を置くことを忘れてはいけません。
経営者になることは目的ではなく、経営者の役割として社員に寄り添い会社を伸ばすことが本質です。
だからこそ、サーチャーになることを考え始めた方がすぐにできることは、企業を探す上でも自身の特性としっかりと向き合い、社長になった上で何を達成するのかという大義を自身で考え、自分の言葉で社員に説明できるように準備し、その道中を支えあえる仲間を増やす努力を怠らないことではないでしょうか。
文:竹内智洋Growthix Investment代表取締役
2023年上期(1-6月)のサーチファンド(個人が投資家からの資金援助を受けM&Aによって経営者になる仕組み)による事業承継件数が5件に達し、2022年、2020年の年間件数に並んだ。
働き方の改革がじわりと広がってきた。イトーキは「育児休業復職支援金」制度を、マコトフードサービスは完全週休2日制を導入。政府が推奨する「働き方改革」で、日本の職場はどこまで変わるだろうか。
ゴルフ場のDX化が進んでいる。ゴルファーの後をついてくる「パーソナルキャディロボット」や、現実空間と仮想空間の間で会話ができる「次世代型メタバース」の登場などがそれだ。
2024年3月期に、2期連続の営業減益のセコム、1期で営業増益に転じる綜合警備保障(ALSOK)という構図が現れる。営業利益は本業の稼ぐ力を表す。両社の差は何なのか。
JTBが2023年3月期に3期ぶりに営業損益が黒字化した。一方、エイチ・アイ・エスは回復が遅れており、2023年10月期第1四半期も営業赤字から抜け出せていない。両社の差はどこから生まれたのか。
腕時計大手のセイコーグループとシチズン時計が3期連続の増収増益を見込む中、衝撃に強い腕時計「G-SHOCK」を手がけるカシオ計算機が2期連続の営業減益に陥いる見込みだ。
牛丼チェーン店の「すき家」を展開するゼンショーホールディングスと、同じく牛丼チェーン店「吉野家」を展開する吉野家ホールディングスの間で、牛丼部門の売り上げ回復力に明らかな差が現れている。
麺類大手のトリドールホールディングス、サガミホールディングス、グルメ杵屋の3社の間で、コロナ禍からの回復の足取りにバラつきが生じている。何が要因なのか。
京セラとバルミューダが、採算の悪化や原材料価格の高騰などを理由にスマートフォン事業から相次いで撤退する。原材料価格の高騰が続き事業環境が一段と悪化すれば、さらなる撤退もありそうだ。
大手スポーツ用品メーカーのアシックスとミズノがそろって売上高と営業利益が過去最高益を更新した。両社では今期の業績予想でも2期連続の過去最高を見込んでおり、コロナ禍から完全復活を果たした格好だ。
宅配便大手のヤマトホールディングスと、佐川急便を傘下に置くSGホールディングスの業績見通しに「強・弱」が現れてきた。この差はどこから生まれるのか。両社の2023年3月期の決算を見てみると。
デサントとゴールドウインのスポーツウエア大手2社が2期連続の増収増益を達成できる見込みだ。デサントは期中に2度、ゴールドウインは期中に1度業績予想を上方修正しており、順調に数字を伸ばしている。
中華料理店「餃子の王将」をチェーン展開する王将フードサービスと、中華料理店「日高屋」を運営するハイデイ日高がそろって復調の兆しを見せている。両社に対する消費者の支持は本物だろうか。
コメダ珈琲店などを展開するコメダホールディングスと、サンマルクカフェなどを運営するサンマルクホールディングの上場大手カフェチェーンの間で、コロナ禍からの回復力に差が現れてきた。
ドラッグストア業界でトップと2位の格差が拡がってきた。両社の勢いの差はどこにあるのか。詳細を見てみると。
国内小売り大手のセブン&アイ・ホールディングスとイオンの業績の差が鮮明になってきた。セブン&アイが期中に業績予想を3度上方修正したことから、大きな差となって着地したのだ。