6月24日に定時株主総会を都内で開くのは東洋建設。その総会前日の23日、大規模買付行為に対する対応方針にかかる議案を取り下げると発表した。
対応方針は東洋建設に買収を提案している任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」(東京都港区)を念頭に置いた事実上の買収防衛策で、ヤマウチ側の持ち株比率を低下させるために新株予約権の無償割り当てなどが想定されていた。
このケースでもISS、グラス・ルイスの2社がいずれも買収防衛策に反対の議決権行使を行うことを推奨していた。
東洋建設をめぐっては前田建設工業を中核とするインフロニア・ホールディングスによるTOB(株式公開買い付け)が5月に不成立に終わっている。ヤマウチ側はインフロニアに対抗する形でTOBに名乗りを上げ、現在、東洋建設株の27%余りを保有する筆頭株主となっている。
それが一転して議案を取り下げた理由は何か。株式の追加取得について、2023年5月24日までの間、東洋建設経営陣が同意しない限りは一切行わないことを誓約したものと理解したことなどを挙げている。
そのうえで、東洋建設は「真摯にヤマウチ側との協議に臨むという当社の姿勢を示すためにも、総会において議案を上程せず、取り下げることにした」としている。
総会後にスタートする東洋建設の新経営陣がTOBの申し出についてどう最終判断するのか。長丁場のせめぎ合いとなりそうだ。
文:M&A Online編集部
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