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テーマ銘柄として注目されるDX銘柄とSX銘柄、投資判断のポイントは?

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テーマ銘柄とは

「テーマ銘柄」とは、株式銘柄をある一つのテーマにまとめて分類した株式グループのことで、「テーマ株」と呼ぶ場合もあります。 テーマ銘柄には「AI」「半導体」「バイオテクノロジー」といった新技術や産業や、話題の「DX」「SDGs」から「人材」「オリンピック」「防衛」などさまざまです。

テーマ銘柄(テーマ株)
M&A Online編集部

今回は、経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX銘柄」と「SX銘柄」について解説します。

DX銘柄とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるビジネス変革を推進する企業群のことです。そして、SX銘柄とはSX(サステナビリティー・トランスフォーメーション)に注力する企業群を指します。

DX銘柄とは

経済産業省と東京証券取引所は、「攻めのIT経営銘柄」として、中長期的な企業価値の向上や競争力の強化に貢献する企業を選定しています。そして、2020年からは毎年6月頃にDXに取り組む企業を「DX銘柄」として選定しています。

DXは、デジタル技術を使って企業の業務を改善し、新しいビジネスモデルを作ります。そして、古いシステムから脱却し、企業文化を変えることを目指すのです。DXを推進することは、現代の激しい競争環境で企業が競争優位性を維持するためにとても大切なことです。

経済産業省ではデジタル活用の実績が表れている企業を「DX銘柄」として選定し、IT活用の重要性に関する経営者の意識変革を促すとともに、目標となる企業モデルを広く波及させることを目指しています。また、同時期に「DX注目企業」や「DXグランプリ」も選定しています。

「DXグランプリ2022」企業の特徴

2022年では、味の素や富士フイルムなど「DX銘柄2022」が33社、キリンホールディングスやワコールなど「DX注目企業2022」が15社選ばれました。さらに、「DX銘柄2022」の中から中外製薬と日本瓦斯が「DXグランプリ2022」に選ばれています。

経済産業省:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)

ここでは、「DXグランプリ2022」に選ばれた2社のDXへの取り組みについて解説します。

中外製薬株式会社<4519>

中外製薬株式会社はバイオ医薬品などの新薬創出により、世界の医療と健康に貢献すべく、イノベーションを追求しています。近年、ヘルスケア産業を取り巻く環境が激変し、多様なプレーヤーの参入による新たなビジネスモデルの出現やCOVID-19の影響によるディスラプション(創造的破壊)が起きています。

この変化を背景に、同社は成長戦略「TOP I 2030」を策定し、そのKey DriverのひとつにDXを位置付け、「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を掲げています。独自のサイエンス力・技術力に最先端のデジタル技術を掛け合わせ、ビジネスの中心でDXを推進し、患者中心の高度で持続可能な医療を実現することを目指しているのです。

日本瓦斯株式会社<8174>

日本瓦斯株式会社は地域社会への貢献を使命とし、DXを軸にエネルギーソリューションへと事業を進化。カーボンニュートラルやTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)などの社会課題を解決しながら、エネルギーの最適利用を提供しています。

そのためには、組織、人材、評価の仕組み、企業文化・風土の変革などの環境整備が必要です。そこで、従来のエネルギー小売から脱却し、地域分散型システムを構築。ガスや電気の小売からエネルギーソリューションへ進化し、スマートハウス化、太陽光発電やEV、蓄電池などの提供、仮想空間テクノロジーの発展などを通じて、企業価値の更なる向上を目指しています。

SX銘柄とは

2023年2月、経済産業省と東京証券取引所は、サステナビリティ課題やニーズを取り込み、長期的かつ持続的な企業価値創造を進める先進的企業を「サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄(SX銘柄)」として表彰することを決めました。

SX銘柄は、経済産業省の「SX版伊藤レポート3.0」と「価値協創ガイダンス2.0」のメッセージに基づき、SXをキーワードとした経営変革が必要とされています。SX銘柄の公表を通じて、企業経営者の意識変革を促し、投資家との対話を通じた経営変革を期待し、日本株全体への再評価と新たな期待形成につなげることを目指します。

SX銘柄の公募は、2022年7月頃から開始され、2024年春頃に選定結果の公表を行う予定です。

経済産業省:SX銘柄を創設します

SX銘柄の中には、「グリーントラストフォーメーション(GX)」も内包されています。GXは、クリーンエネルギーを活用していくための変革や、その実現に向けた活動です。経済産業省はSX銘柄を通じて、自社の成長に投資家との対話を通じてサステナビリティ課題に取り込むなどして、企業価値の向上を促すのが狙いです。

また、SX銘柄の創設には、「日本株離れ」を防ぐ狙いもあります。「SX銘柄2024」発表後には、国内外の投資家に向けてアピールすることを検討しているのです。これまでの「なでしこ銘柄」や「DX銘柄」と同じように、企業の取り組みや成果を広く知らせることで、投資家の呼び込みや企業の変革を促すのが狙いです。

現在、経済危機や気候変動、SDGsへの注目などにより、企業は自社の持続可能性を高め、中長期的な企業価値創造を実現する必要があります。しかし、パッシブ運用が拡大してアクティブ投資家の数が不足する中、企業と投資家の間でギャップが起こり、企業の戦略が投資家に理解されにくくなっているのです。

企業と投資家の理解不足を解消し、中長期的な企業価値を上げるためには、5年や10年といった長期的な時間軸でサステナビリティを共有し、一緒に成長する関係を築くことが必要になります。

つまり、企業は単なるビジネスの安定だけでなく、社会や環境、ガバナンスにも配慮し、長期的な視点で価値を創造し、投資家と共に成長することが求められているのです。

DXとSXはテーマ銘柄なのか

DX銘柄とSX銘柄は、どちらも経済産業省が創設したものです。DX銘柄は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業の株式を指します。つまり、DXによるビジネスモデルの変革やデジタル技術を活用した新たなサービス提供に注力している企業の株式を指します。

一方、SX銘柄は、多くの日本企業がSX(サステナビリティ重視)の視点による事業再編や新規投資を通じて価値創造を進めるためには、その実現に向けた取り組みを投資家等も含めたインベストメントチェーン全体で推進していくことが重要とされています。

DX関連銘柄には、急成長してテンバガー(株価が約10倍になった銘柄、またはそれになりそうな銘柄)になった銘柄が含まれています。AI(人工知能)やクラウドもDXの中で注目されているテーマの一つで、伸びしろがあるとされている分野です。

こうしたテーマ銘柄には、投資家が企業を選ぶ際に取り組みがわかりやすいというメリットがありますが、国が特定銘柄(個別企業)のPRを後押しているのではないか、という批判もあります。

テーマ銘柄は、短期的に株価が急騰する可能性がありますが、同じテーマ内の株価が下落すると一斉に下落する恐れもあります。また、テーマ銘柄は、個別の業績よりも市場のテーマやトレンドに影響を受けやすいため、市場全体の動向に左右されることが多くなるので注意が必要です。

そのためには、個別企業の評価や将来性を見極めることが重要です。単にテーマに乗っかるだけでなく、企業の業績や成長性、財務内容などをしっかりと調べ、投資判断を行うことが求められます。また、テーマ銘柄は短期間での値動きが激しいため投資するときは、きちんとしたリスク管理が必要です。

文:M&A Online

<免責事項>本記事に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。

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